第100話 妖狐の育児疲れ

「きゅうきゅう!」

“もっふもふ“で”ふっかふか“で、”ぬいぐるみ“のようなルックスで評判の妖狐の赤ちゃんは、“もっふもふ“で”ふっかふか“で“コロンコロン“だった。


ほわあ~。

フギンとムニンとアシュタロトの顔がとろけた。


「かわいいのう。」

「うむ・・・。」

フギンとムニンが、ニコニコ顔でベビーベッドを覗き込むと、やんちゃそうなチビ妖狐たちがコロコロしていた。


「ここまで育てるのは大変だったであろう・・・。ぐすっ。」

「親妖狐と二人三脚で、よく頑張ったのう・・・。ぐすっ。」

フギンとムニンが感動して、ちょっと泣いている。

お節介でゲスなところもあるが、基本的に教育熱心なナイスガイなのだ。

「うん…。大変だったけど、可愛くてね。」

「うむ・・・。」

「ぐすん。」

フギンとムニンが想像力だけでもらい泣きする。

——————————— これでゲスな要素さえなければ・・。(アシュタロト心の声)


「もう離乳食は始めているのか?」

「うん、少しずつあげ始めたとこ。当分はミルクと並行していく感じだよ。」

「母妖狐の様子はどうじゃ?」

「体力的に問題あり・・かな。僕らと交代で世話しているんだけど、5匹もいるからへとへとだよね。」

「父妖狐も奮闘しているのじゃろう?」

「うん、寝かしつけと“しつけ”。」

「父妖狐もやつれておるのう・・・。」

目の下にクマを作り、ヨロヨロな母妖狐と父妖狐が、あっちこっちに駆けまわるチビ妖狐たちに翻弄されていた。

たちばな・・・。」

「このままでは母妖狐が育児ノイローゼになるぞ。」

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