第99話 橘のお宅訪問

「お、来たな!」

「アッシュ、お前・・・、もう少しお洒落してきたらどうなのだ・・・?」

いつも通りのアシュタロトにフギンとムニンがケチをつける。

「赤ちゃん妖狐の面会にお洒落は必要ないだろう。」

「まてまてムニン。アッシュにお洒落とは難しい注文だぞ。(笑)」

「それもそうだな!(笑)」

——————————— 焼き鳥にしてやろうかと思った。お前らは常に全裸のくせに。全裸中年大鴉め!


「ごめんくださーい。」


「はあい、いらっしゃい。」

「邪魔するぞー。」

「今日は楽しみにしてきたぞ!」

「はいはーい、フギンとムニンもアシュタロトさんもどーぞ。」

たちばなに招き入れられた家は日本の古民家そのものだった。


「おじゃましまーす。」

「まーす。」

——————————— ペタペタと廊下を歩くフギンとムニンが可愛い。全裸だけど。焼き鳥にするのは、今日のところは勘弁してやろう。


「変わった作りだのう。」

フギンとムニンが興味深そうにきょろきょろする。

「天狐族では普通の建築だよ。宮殿関係者だと・・・淫魔の源氏族(デイモンの父親の一族)とか獣人の柴犬族(女官のメイの一族)とか熊獣人のツキノワ族(唄子さん)とか、近い文化を持つはずだよ。食文化はほぼ一緒だしね。」

「納豆グループだな!」

「・・・その例えはやめて、豆腐とか油揚げとか日竜頭ひりゅうずとか、他にもいろいろあるから!」

「全部大豆だな・・・。」

「大豆グループだな!」

「もう、それでいいや。・・っと、あの部屋が育児部屋なんだけど。まだ赤ちゃんだから気を付けてね。注意書きは読んだ?」

「読んだぞ!」

「他の動物の赤ちゃんと同じように丁寧に接するから心配いらぬぞ。」

「うん、みんなレスキュー団体で一緒だし、そこだけは信頼しているよ。」


スターン!

たちばなが襖を開けると、そこはモフモフなパラダイスだった。

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