第38話 泣けるママのアニメ
こんなはずでは・・・・。
エンマと二人で「フランダースの犬」もしくは「名犬ラッシー」を鑑賞し、今頃エンマは僕(犬)との愛情あふれる生活を大事にしようと誓っているはずでしたのに・・・どこで間違ったのでしょうか?
「う、ぐすっ・・・・ひっく・・・。」
エマは「母を訪ねて三千里」を鑑賞し終え、マルコと母の再会シーンに感動して泣いていた。
「ダモ、マルコはお母さんと一緒にジェノバに帰って来られてよかったですね。すんっ。」
「そうですね、エンマ。」
少しだけ遠い目をしながらエマの頭を撫でる。
「でも、マルコのお父さんはちょっとダメですね。お父さんを騙した人が一番悪いけど、お父さんも大人なのでもう少ししっかりしてほしいです。」
生活費のために借金を作ったピエトロへの評価は厳しい。
「アメデオは可愛かったですね!」
しまいには猿を褒めだしてがっかりです。
「エンマ、そろそろルーシーさんとサタンさんが来る時間ですからお片付けしましょうね。今日は天気が良いからテラスでお茶会にしましょう。」
今日のティータイムにサタンの手作りケーキを持って二人が訪ねてくる約束なのだ。
「エマちゃんは人間界のアニメに夢中なのね。」
「えへへ、架空のお話なのに、エンマ本気で泣いたり怒ったりしちゃいました。
・・・・・あのね、ルーちゃん?」
「何かしら?」
「・・・・・・・・・あのね・・・あのね・・・・・、エンマたちにはママはいないの?」
テラスに緊張が走る。
「ほとんどの天使はポコっと生まれてくるのよ?天使のカップルから生まれることもあるけど、かなりのレアケースよ。」
「・・・エンマもママ欲しいです。」
消え入りそうな声でエマがつぶやくと再びテラスに緊張が走る。
つん!つんつん!
涙目のフェンリル化したデイモンが鼻先でエマをつつく。
「もう!ダモったらやめてください!」
「モンたんはやきもち焼きだなあ!HAHAHAHAHA!」
「エマちゃん、モンたんが誰よりもエマちゃんの側にいたいそうよ。」
本気で涙目のデイモンと、棒読みなカールとダイアナ。
「もうっ、ダモとママは別です!」
「エマちゃん、テオ君はエマちゃんのパパみたいだけど?」
ぶふぉっ!
ルーシーがテオの過保護ぶりを冷やかすとダイアナが紅茶を吹き出す。
「ダイちゃんっ!」
すかさずカールがダイアナの世話を焼くが、なぜかダイアナの顔は青ざめている。
「テオくんとニナちゃんはきょうだいですよう!」
もうっ!と、エマがルーシーに怒ったように返す。
そのままルーシーのペースで会話が進み、無事にお茶会が終わった。
翌日から魔王権限で王宮図書館の「昆虫物語 みなしごハッチ」のDVDが、エマが成長するまでという期限付きで貸出禁止になった。
あれは「母をたずねて三千里」よりもヤバいのだ。
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