第201話 ダンジョン管理と例の魔法
昼過ぎ、俺はひとりで
俺はここの管理を、創造神様から任せていただいている。
つまりここは、俺が好きにしていいダンジョンなのだ。
元々、白亜がここのダンジョンマスターだったのだが、今はその権限が俺に移行している。
ダンジョンマスターの権限は個人のステータスボードに表示されるのではなく、ダンジョンを構成する最重要パーツ──ダンジョンコアに刻まれる。
このダンジョンが俺をマスターだと認めてくれているのだ。
ステータスボードに『ダンジョンマスター』などと表示されて、ステータスが変化することでダンジョンマスターと認められる方式じゃなくて良かったと思う。
もしそうだったら、ステータスが〘固定〙されている俺はダンジョンマスターになれない。
なんにせよ、俺はこの遺跡のダンジョンを自由にできるのだ。
俺はワクワクしていた。
元の世界では街やダンジョンを発展させていくシミュレーションゲームが結構好きで、やりこんでいたからだ。
思い返せばここまで来るのに、想定以上に時間がかかってしまった。
聖都の大神殿まで行って、創造神様にダンジョンの管理を任せてもらう交渉をしたところまでは良かった。
しかし、その聖都に悪魔が居たせいで、思いがけず滞在期間が延びてしまった。
当初の俺の予定では、三日くらいで帰ってくるはずだったのだ。
魔法学園は十日間の休み中なのだが、その休みも残りは今日を含めて後二日しかない。
実は今日も暇だったから、朝からダンジョン運営の下準備をやりに来る予定だった。
しかし、ティナ以外の妻たちが全員どこかに出かけていったことで、ティナとふたりっきりでイチャイチャするという予定が急遽飛び込んできたのだ。
久しぶりにティナとふたりだったので、ついテンションが上がって、今までしてこなかったことも色々とやってしまった。
リファやヨウコたちが、いつ帰ってくるかはティナも知らなかったので、朝食を食べて直ぐにティナと一緒にお風呂に入り、そこからは俺のベッドでイチャつき始めた。
一応、
ティナも初めてだったみたいだけど、俺の拙い愛撫で気持ちよさそうにしてくれた。
演技かな?
けっこう濡れてたから、本当に気持ちよくなっててくれたんだと思うけど……。
気持ちよくなってくれてたら嬉しいな。
もっとティナに気持ちよくなってもらえるように、色々と練習したい。
とはいえ、ティナ以外の妻と寝て練習するというのは、なんか違う気がする。
ティナと一緒に、初めてを経験したいんだ。
最初はやっぱり、ティナとしたい!
いずれ、ティナと一緒に最後まで──
ふっ、とシーツを握りしめ、必死に声を押し殺すティナの表情が頭を過ぎる。
あれは、かなり興奮した。
我慢している様子のティナが、凄く可愛かった。
欲望に身を任せ、つい襲い掛かってしまいそうになったが、なんとか耐えた。
──いや、ちょっと我慢できなくて、ティナの首筋にキスマークをつけてしまった。
目につくところに、痕を残してしまったのは初めてだったので、ティナが他の妻たちから指摘されてなければいいけど……。
「……おっと、あんまり時間ないんだった」
気づけば俺は、ティナとイチャイチャしてた時間を思い出して、ダンジョンのマスタールームでひとりニヤニヤしていた。
明日が魔法学園お休みの最終日なんだ。
できれば、このダンジョンで一日くらいは遊びたい。
俺はその準備のために、ここまで来たのだから。
「さて、やりますか!」
気持ちを切り替えるために、少し大きめの声で自分に言い聞かせる。
そして俺は、遺跡のダンジョンの改変を開始した。
まずダンジョンコアに手を触れ、魔力を送り込んでいく。
ここが一般的なダンジョンであれば、ダンジョンの改変は全て『ダンジョンポイント』というものを使って行われるらしい。
ダンジョンポイントは、ダンジョンにやってきた冒険者や、その他の挑戦者たちの感情の高まりで貯まる。
ダンジョン内に宝箱があるのは、冒険者を喜ばせてダンジョンポイントを貯めるのが目的なんだ。
しかしここ、遺跡のダンジョンは一般的なダンジョンとは少し違う。
ここは元々、勇者の育成を目的としたダンジョンだった。
一般的な冒険者は入れなかったのだ。
そうなると当然、ダンジョンポイントが貯まらない。
そのため、このダンジョンではダンジョンポイント以外に
つまり、邪神の呪いで無限の魔力を持つ俺は、このダンジョンを好き放題できるということを意味している。
俺はこのダンジョンを、テーマパークのようにしたいと考えていた。
驚きと感動、歓喜で溢れるダンジョン。
恐怖もちょっと、入れておこう。
最初は俺の魔力でズルをするけど、軌道に乗ったら後は、ちゃんとダンジョンポイントのみでやり繰りしていこうと考えている。
元の世界のシミュレーションゲームでも、スタートダッシュするために、ゲーム開始時に少し課金してしまった俺の性格は、あまり変わっていなかった。
おそらく、ダンジョン運営がピンチになったら、俺は直ぐに課金に走る──魔力でダンジョンポイント代用をしてしまうかもしれない。
まぁ、それはそれだ。
創造神様から任せていただいたダンジョンを荒廃させるわけにもいかないしな。
できる限り、手持ちの資金(ダンジョンポイント)でやり繰りできるように、いいダンジョンを作ろう!!
そう考えながら、俺はダンジョンの改装を進めていった。
──***──
『ハルト様、夕飯の支度ができています』
俺の腕に付けたブレスレットから、ティナの声が聞こえた。
「わかった。今から戻るよ」
作業を一旦やめて、ティナに返事をする。
かなり夢中でダンジョン改変をしていて、もう夕刻になっているなど気が付かなかった。
この遺跡のダンジョンは地下型で、最下層にあるマスタールームには窓がない。
時間感覚がおかしくなるので、外の様子がわかるようにもしておくか……。
ちょうどやりたいことは完了していたので、後は細かな調整が残っているのみだ。
夕飯を食べたあとに戻ってきてもいいのだが、最近は家族みんなでお風呂に入るのが日課になっていた。
そのあとは、ベッドに直行だ。
妻たちに拘束されて、ここには明日まで戻ってこられないかもしれない。
でも、作業は終わらせてしまいたい。
明日、このダンジョンのプレオープンを予定しているからだ。
実はモニター役として、ダンジョンに挑戦する人員も手配済みだった。
残っている作業としては、ひたすら同じ動作の繰り返しでいける。
だから俺は、
その魔法にあとを託し、俺はティナたちが待つ屋敷へと転移した。
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