第151話 女騎士が現れた
辺り一帯が、眩い光に包まれる。
「これは──ディバインブレス、ですか?」
「あぁ、多分そうだね」
ルナはこの魔法を知っているようだ。
俺も本で読んだことがあった。
術者を中心に、一定の範囲内にいる全ての味方に強い癒しを与える最上級の回復魔法。
さすがは聖女様だ。
時間が無いから、一気に騎士たちを蘇生しようと考えたのだろう。
でも、そんな無理をしてしまって魔力が尽きないのか心配になる。
魔視でセイラの魔力残量を確認した。
足りなくなりそうなら、追加で彼女に魔力を送り付けようと準備をしていたのだが──
あれ? 魔力、減ってなくね?
セイラの魔力はほとんど減っていなかった。
もしかしてリザレクションって、そんなに消費魔力多くないのかな?
そんなことを考えているうちに、倒れていた騎士たちの顔に生気が戻ってきた。
良かった。
無事、全員を蘇生させることができたようだ。
ただ、蘇生できたとしても彼らが目を覚ますには時間がかかる。一旦、身体を離れた魂を
つまり意識のない大柄な男九人を、俺たちが聖都まで運ばなくてはならない。
更に彼らが身に纏っている純白の鎧は、付与された魔法の効果で身に付けると重さはほとんど感じないが、普通に運ぼうとすると相応の重量になる。かなりレアなものっぽいので、脱がせて置いていくわけにもいかないだろう。
まぁ、要するにめんどくさいってことだ。
ティナに聖都まで連れてってもらって転移魔法陣を設置してから戻ってくるか、風魔法とかで無理やり運ぶか……。
「──おっ!」
どうやって気を失っている騎士たちを運ぼうかと考えていたら、遠くから凄い勢いで向かってくる複数の魔力を感じた。
魔力が人族っぽいので、味方だと思う。
良かった。
これで、騎士たちを運ぶのが楽になる。
「聖女様! ご無事ですか!?」
少しして、金髪の女騎士が現れた。
彼女が身に纏う鎧は、俺の前に倒れている男の騎士たちのものとは明らかに違った。
無駄に露出が多いのだ。
目の保養になるから無駄ではないのだが……。
それでも『本当にそれ鎧か?』──とツッコミたくなってしまうような格好をしている。
動きやすそうではあるが、へそが丸出しとなっているそのお腹の部分とか、白く綺麗な太ももが丸見えな下半身とかは、防御力がほとんどないんじゃないかと思えてしまう。
「貴様、何を見ている?」
「あっ、す、すみません」
ギロりと睨まれ、怒られてしまった。
で、でも、そんなえっちぃ格好してる貴女にも非があると思います!
「チッ、下衆が」
うわぁ……この人、めっちゃ口悪い。
スタイル良くて、顔も凄く綺麗なのに、態度は最悪だった。
俺、Mっ気ないからな。
ジト目で罵倒されても気持ちよくなれない。
逆に、こういう強気の女性がいじめられて、泣きそうになっているのに唆られる。
所謂、『くっ殺』が大好物。
──といいつつも、女の人がガチ泣きするとオロオロしてしまうので、あんまり残虐なやつとかもダメなのだけど。
ソフトSってやつ?
「エルミア、この御方が魔人から私たちを助けてくださったのです。無礼な物言いはおやめなさい」
セイラが俺を擁護してくれた。
女騎士はエルミアという名前らしい。
「ま、魔人!? い、いや、シンがいたのなら魔人くらいなんとか……」
「団長、いくら俺でも魔人は無理っすよ。しかも魔人、二体いたんで。正直、今回は死んだって思ったっす」
「魔人が二体!? そ、それを彼らが退けたというのですか?」
「退けた、というより──」
「浄化してたっすね」
「えぇ、魔の因子の欠片も残すことなく」
エルミアが俺の方を見て固まった。
「そちらのハルト様は賢者だそうです。それに見合うお力をお持ちでした。また、奥にいらっしゃる黒髪のエルフ族は、英雄ティナ様です」
「えっ……」
セイラの話を聞き、エルミアの顔が青くなる。
「ここに倒れている貴方の部下たちはみな、魔人に一度殺されました。それを救うための魔力を提供してくださったのもハルト様なのですよ」
「も、申し訳ありませんでしたぁ!!」
勢いよくエルミアが頭を下げてきた。
まぁ、彼女の身体をジロジロ見てた俺が悪いわけだし、謝って貰うほどのことではないのだけど──
俺に頭を下げるエルミアの胸元が視界に入ってしまい、その豊満な谷間につい目を奪われる。
そして感じる周りからの冷たい視線。
シロを除く、家族全員が俺に冷ややかな視線を送っていた。
お、俺が悪いのか!?
仕方ないだろ?
俺だって、健全な男子なんだから!
見ちゃうだろ?
目の前に際どい鎧を着た巨乳美女いたらさぁ!
そんなことを言えるはずもなく──
「いえ、気にしないでください。それより早く彼らを聖都に運んであげましょう」
魔人二体を相手にしていた時よりピンチなこの状況を、この場から移動することでなんとか打破しようと試みた。
「ありがとうございます。まもなく他の部隊の者がここに来るはずです。この者たちの移動は彼らが来てから行いますので、ご心配なく」
急にエルミアが俺の手をとった。
その手が彼女の胸に押し当てられる。
「先程は無礼な発言、大変失礼いたしました。それから、私の部下たちを救っていただき本当に、ありがとうございました」
上目遣いでそう言われたが、言葉はほとんど頭に入ってこなかった。
俺の意識は柔らかなエルミアの胸に──
強まる周りからの冷たい視線。
俺はもう、後で怒られることを覚悟して、エルミアの胸の柔らかさを堪能することにした。
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