人食い横断歩道 -その横断が世界滅亡への始まり-

作者 大鴉八咫

6

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★★ Very Good!!

ある日、人類に突如牙を向いた、渡るもの全てを喰らう横断歩道!

もう、この設定だけで面白いこと保証付きなわけですが、物語がどんどん加速してスケールアップしていくスピード感が凄まじいです。

ネタバレにならないようにレビューするのが難しいのですが、タイトルから推測されるように、本作品は背筋がゾクゾクするようなホラーではなく、ここまでやるか!と思わせる、ビッグスケールのカタストロフィー作品です。

アイデアだけの一発勝負ではなく、完成されたショートストーリーを、是非お楽しみ下さい!

★★★ Excellent!!!

文明の発展した国、都市であればどこにでもあるであろう「横断歩道」。それがある日、何の前触れもなく人類に対して牙をむいてきたら……。本作品は、そんな当たり前に存在しているはずの日常が、突如として襲い掛かってくる恐怖を描いた一つの不条理劇です。

なんでも飲み込んでしまう空間が突如出現――といいますと、星新一の「おーい、出てこーい」を連想しますが、あちらが因果応報を描いた社会風刺的な側面の強い内容であったのに対し、本作品は「その余地すら与えてはくれない非情な物語である」と言えます。

加速度的に拡大してゆく、「横断歩道」という名の脅威は、もはや怪獣映画のそれであり、劇中で展開される人類との攻防も見事なまでに手に汗握るものがあります。人食い横断歩道という設定をあくまでも奇想(もしくは基層とでも言いましょうか)として、文明そのものに人類がとってかわられる、この理不尽さ……。そこに人間のドラマが介入する余地は全くなく、精緻な筆致で淡々と事態の推移のみが語られてゆく様はきわめて圧倒的です。

そんな本作品を怪獣小説と一言で評してしまってもよいのだろうか? とは正直思うのですが、あまりに斬新な設定ゆえに他に表現するべき言葉が見つからないというのも、また事実ではあります。
横断歩道という、本来ならば社会のルールを維持するための「秩序そのもの」が牙をむく恐怖。作者がここに込めた真意は、決して軽いものではないと言えるのではないでしょうか。