社会のゆめ


 魚群は社会のゆめをみた

 一個体でひとつであるもの

 魚群の社会はそれであったが

 ゆめみた社会はことなっていた


 そこでは魚群は

 ひとつの社会としては 存在しえなかった

 魚群はひとつの個体としてすら 存在しえなかった

 魚群は分解された

 魚群は分断された

 群れをなす個々をばらばらにされて

 魚群はそれでも魚群であった


 魚群の地獄は 釜で煮炊きされるよりも

 うんと灼熱した地獄であった

 個々の魚群は魚群としての自我を持ちながら

 己が既に魚群ではないことを知っていた


 

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