第66話 *科学技術文明で唯一、神鋳製硬貨を凌いだ貨幣?

「脱線しちゃったし、話を元に戻しましょう」

「何の話をしていたっけ?」

「…」


白い目で見られた感じが…


「お金が何を価値にして決めているか。すなわち、何の本位制かというお話よ」

「ああ、そうだった。そうだった。それで、報酬という話で脱線した…だっけ。秋穂が神格持ちというのも、それで分かった」

「私が神格持ちだからというのは、本位制とは全く関係がないから。もう言わないように。言うな」

「はい」


なにやら、その部分はトラウマっぽい。


「紙幣の効果がなくなったからと言っていたけれど?」

「正確には、複写防止技術が魔法の影響で崩壊したのと、魔法文明が高度に発展していた方にあった金貨などの金属複合本位制における複製防止技術を科学技術文明が発展していても打ち破れなかった。それが、紙幣のお金としての価値をなくした原因よ」

「ん?金貨などの貨幣を鋳造していたのは、様々な神さまといっていなかったか?」

「言っていたわよ」

「科学技術が発展していても、神さまが作るのでは太刀打ちしようがないのでは」

「ところが、科学技術文明の発展では、複製金属硬貨は作れなかったけれど、世界で1カ所だけ、それを越えるものがあったの」

「複製じゃなくて、本物ということ?」

「ええ、その技術は本物で、その技術を引き継いだ神さまが今作っているのが、最新の貨幣よ」

「どんな技術なんだ?」

「うーん、なんと言えばいいのかしら」

「そんなに難しいものなのか?」

「簡単に言えば、魂を入れるというのが、一番近いかな」

「魂?貨幣を生き物にしてしまうということか」

「ちょっと、それも違うような」

「芸術品に魂が宿ると聞いたことがある」

「それも少し違うような気がするわね」

「硬貨が生きているということ」

「それも違う…かな」

「結局、その貨幣の技術を受け継いだ神さまに聞いてみれば早いのではないか」

「うーん、その神さまって、私のことだから、無理かもね」

「……………………は?」

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