第65話 *報酬本位制?
「今の貨幣などについては、置いておいて、お金の話をしましょう」
「お金といえば、金本位制というのを聞いたことがあるが」
「それは、お金の価値を金。金貨というように、金としての価値=貨幣価値にしたものよ。もちろん、貨幣価値は国で決めて、法律上でも担保を取っているわ。最も、この世界にしろ、あの世界にしろ、ほとんどの異世界では、金本位制というよりも、金属複合本位制や紙幣に代わる合符や果ては冒険者カードに報酬を貯めた上に使用できる報酬本位制などという意味不明なものまであるわ」
「報酬って。子どもにお小遣いも渡せないのか」
「両親の手伝いをすると、それに対する報酬が生じるそうよ」
「合理的というか、何というか」
「その代わり、その両親も仕事などで報酬を得ないと、子どもに渡せる分が減ってしまうという話だわ」
「病気やケガの場合は、報酬は無理だろう」
「ところがそうでもないのよ。病気やケガに係る費用はなし。しかも、入院している間は、一定額の報酬が出るとか」
「報酬は、どこから出ているのか」
「報酬は、その病気やケガを治す側から出ていて、治す側も国家疾病院、国庫から出ているそうよ」
「ますます分からないが」
「病気やケガに合った際の治療方法の確立と習得のためと言っているわね」
「人体実験か?」
「治験と言って欲しいわね。報酬本位制でなくても、治験の際には、報酬や賃金が支払われる場合があるから、あながちこの制度は、異質なものじゃないわ」
「なるほどな」
「ただし、世界全体だという事に注意しなければならないわ」
「?世界全体」
「そう、世界全体。1国が決めたものではなく、全ての国や地域、種に限らず同じということ」
「国は、どこから報酬を得ている?税金か?」
「税金という概念はないわ。国も、どこからか報酬を得ているそうだけれど、それがどこなのかは、一応秘密」
「すると、秘密ではないけれど、秘密にしているということか。案外、神さまのポケットマネーとか」
「まぁ、正解。だから、一応秘密なの」
「当たるとは思っていなかった」
「国は、神さまを喜ばせることで、報酬を得ているの。その中で、最大の報酬行為は…戦争よ」
「喜ばせる。結局、殺し合いということか」
「あ、別に戦争と言っても、殺し合いだけという訳じゃないの。経済戦争とか開発戦争とか、技術革新とか、要は争いごとを平和的にしてもいいの。神さまは1つではなく、結構な数がいるらしいから」
「結構な数?」
「数え切れないくらい。昔々な神さまもいるからね」
「例えば?」
「稲穂神」
「いなほ??」
「お米の神さま」
「お米!」
「それとか、秋の神さま」
「秋!季節か?」
「秋がない国もあるのに、この神さまは何を意味しているのかなぁ」
「面白いな、秋穂は、稲穂神と秋の神さまの子どもみたいなものだな」
「そうよ」
「あはは、そんなこと…えええっ?!」
「そんなに驚くことかしら?」
「神格持ちとは知らなかったよ」
「何を今さら」
「…だから、異世界を自由に行き来できるのか」
「そっちは、そういう資格があるからだし、仕事ということもあるし、色々よ」
「…」
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