第43話 *余剰力量

 またも扉を開けて


「こちらの先が、センターよ」


 出たところは、白い廊下。

 お姉ちゃん先生に先導されて、その白い廊下を歩き…行き止まりだ。

 でも、そのまま壁の中に入って、消えてしまう。


 王さまが長兄王子を壁に押しつけるようにして、王さまごと壁の中に入るが、すぐに廊下が続いていることに気がつく。


「さっきの壁は?」

「あれは、カモフラージュだ。実際は、壁などない」

「こっちよ」


 お姉ちゃん先生が指で示した先は、暗い空間。

 そのまま、みんな何も言わずにその空間へ入っていく。


 全員が入ると、入ってきた部分が消えて、中にあったモニターがよく見える。


「王さまたちは知っていると思うけれど、ここで見たことは他言無用。長兄王子も同じよ」


 モニターに映し出されているのは、自分たちが暮らしている場所を中心に上下左右に配置された世界。

 上下左右に、いくつかタブが付いていて、関係する項目ごとに見ることができるらしい。


「みてもらいたいのは、ここよ」


『余剰力量(多すぎるエネルギー) ∞』


「過去に何回か、召喚して先生役をしてもらったと思うけれど、あの程度だと焼け石に水よ。もっと呼び出さないと消費するより余るものの方が多いの。今は、私や私の端末、逗留している箱庭などで、力量を移動させているけれど、出来ればあなたたちで解決してほしいところよ」


 王さまが


「召喚回数は、どれくらいにしたら良いのでしょうか?」

「何百回レベル。平均して毎日の余剰力量で喚べるのは、2、3回。でも、余剰力量の数値は変動があるから、5~6回になることもあるし、回数が多ければ多いほどいいわ。あの場所に蓄えられている力量全てを使っても、すぐに他所に蓄えられている力量の移動が行われるから」

「召喚先生の頻度をあげるとなると、先生として来て頂く際の受講者を増やすしかありませんが」

「対象者は、だれでも可能にしてみたら?召喚と送還の作業は自動化できるように、陣形を作ってあげるから、検討してみて」

「分かりました。できれば、対象者の選定ができる陣もあると便利だと思うのですが」

「仕方がないわね。私の端末を置いておくから、それを有効活用して」

「お手間をおかけします」


「では、子ども達がいる場所に移動…」


 そう言うや否や、子ども達が思い思いの状態で休みを取っている場所に転送された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る