第10話 先生と友だちになった!

 その言葉に、王子さまは、


「夕食なんていいから、もっとしりとりしよ」


 と言って、近藤君と侍女を困らせてしまった。


 そこで、私から提案をした。


「王子、近藤君とお友達になったら、どうですか?」

「お友達?それって、なあに?」

「お友達とは、遊んだり勉強をしたり、自分の思っていること考えたこと悩んだことなど、色々話すことのできる人を言うのですよ」

「そうなんだ。また、遊べるんだ」


 その友だちという言葉に反応した王子さまは、近藤君に向き合うと、なぜか恥ずかしそうに


「お友達になりたい」


 と小さな声を出した。

 近藤君は、その小さな声でも聞こえたらしく、


「いいよ」


 と手を差し出した。


「これは?」

「友だちになったら、握手するんだ」


 その手を見て、同じ方の手を出して、互いに握る。


「これで、友だちになったよ」


 近藤君は、そう言って笑った。

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