走り屋ではないクルマ好きがふわっと車について考えてみた。

スペーシアベースとＮ－ＶＡＮ

　乗用車登録のスペーシアの一グレードとして登場した『スペーシアベース』は後席を質素にして貨物登録を可能としています。対するホンダの『Ｎ－ＶＡＮ』はホンダＮシリーズをベースにしているものの、乗用車ではなく貨物車登録のみと割り切った設定です。

　貨物登録ではあるがワゴン車的でＲＶに近いスペーシアベース。対する貨物車と割り切ったＮ－ＶＡＮ。Ｎ－ＶＡＮオーナーとしての目線で比較したいと思います。

　この二台、多分だけど一人で乗るならどちらも似たようなものだと思います。前席周辺は若干スペーシアベースの方が豪華かなって気がしますけど運転席だけなら似たような快適性でしょう。そもそもどちらを選んでも私に言わせれば過剰なくらいの豪華装備。こちとら軽にクーラーが無くて当たり前の時代を知ってるんだから。

　二人で乗るなら圧倒的にスペーシアベースがお勧め。Ｎ－ＶＡＮはフラットなスペースを作るために助手席まで折り畳みシートにしちゃいました。スライドが出来なくてリクライニングの範囲も限られる、おまけに座面が水平と来たもんだ。助手席に荷物を載せておいたら信号待ちの度に滑り落ちます。言っとくけど私の運転が下手だからじゃないですよ、撥水性を重視したシート地が滑りやすいのと相まって滑りやすいんだからねっ！　

　初めて母を乗せた時、信号待ちやカーブの度にお尻が滑って落ち着かないみたいでした。現在はシートの脚にスペーサーを噛ませて座面が少し後ろへ傾くように調整してあります。

　ま、Ｎ－ＶＡＮはメーカーが『おひとり様前提』って言ってるくらいなんで『運転席以外は補助席』なのも仕方がないんですけどね。

　三人以上で乗るならどちらも長所・短所があるんで引き分けって所でしょうか。後席の窓はＮ－ＶＡＮは窓が開かない（上級グレードはフリップアウトで少し開く）けどスペーシアベースは上下に開けられるみたい。足元スペースは動画を見た感じではＮ－ＶＡＮの方が広そう。

　そもそも後席を重視するならスペーシアベースでなくスペーシアを、Ｎ－ＶＡＮじゃなくてＮ－ＢＯＸやＮ－ＷＧＮを買う方が良いよね。

　積載性は前席を畳んで平らに出来るＮ－ＶＡＮが有利に見えます。積載重量はスペーシアベースが二〇〇キログラムに対してＮバン（変換が面倒になってきた）は三百五〇キログラムと圧倒的な違いがあります。スペーシアベースでも同じ積載重量に出来たと思いますが、恐らく何か理由があるのでしょう。

　恐らく理由は走行性能なはず。

　走行性能ですが、スペーシアベースはターボが選べないみたいですね。標準のスペーシアについてるハイブリッドも無いみたい。となれば高速道路を走っての長距離移動や荷物を満載する場合はターボ付きを選べるＮ－ＶＡＮの方が若干有利かなって気がします。六速マニュアルミッションを選べるのも一部のユーザーには嬉しいところでしょう。

　問題は足回り。特にタイヤ・ホイールを交換したいときはＮバンが不利。

　Ｎバンはメーカーが貨物車と割り切っているのでタイヤは軽トラックと同じ十二インチのＬＴ（ライトトラックを表す）用。耐荷重の問題で乗用車用タイヤへの交換やアルミホイール、そしてインチアップが出来ない事は無いけれど難しく選択肢が少ない状態です。

　一応だけど十四インチのタイヤで車検適合の物があるらしい。私の場合は面倒だったのと前に乗ってたアクティバンのホイールを使いまわしたかったから十二インチのまんまだけど。

　スペーシアベースは積載重量が少ない代わりにタイヤも乗用タイプのスペーシアと同じ。乗用グレードと同じタイヤにしようがインチアップしようが車検は通る。積載重量が少ない代わりに乗用車に近い味付けみたい。

　もしも私が今の段階で買うとすれば……やっぱりＮバンだと思います。スペーシアベースは少し遊び心が在り過ぎと言うか、可愛らしすぎると言いますか。見るからに貨物車然として質実剛健なＮバンの方が合うかなと。

　どっちを買っても一長一短、使い方と好みによって選べばいいんじゃないかなって思います。Ｎバンは新しい軽貨物車として受け入れられているみたいだし、スペーシアベースはベースとなったスペーシアが人気車なので大ヒットするかはわからないけど大ハズレもしないでしょう。

　ところで「あれ？　他にも似た車があった気がするぞ？」って思った人いませんか？　ホンダとスズキ以外にも在ったんだなぁ……。