高齢ドライバーはローテク車に乗るべきだと思う。

 ナイト二〇〇〇やプリウスなんて最先端のクルマの話をしたあとは逆にとことんローテクな車のお話をしてみようかと思います。


 ローテクと言っても『ハコスカ』『S30Z』まで行くとちょっと古すぎるし現実的じゃない(まぁ最新技術でアップデートした個体はあるが)のでもっと身近で現実的な奴ね。


 現実的なローテクな車と言えば一昔前の軽トラックでしょうか。今はエアコン・パワーステアリング・パワーウインドウ・オートマチックトランスミッション装備で、私の感覚では普通車並みの快適装備を備えた軽トラックがザラですが、私が整備士をやっていた二十年くらい前は本当に動くだけの最低限の装備な軽トラックがたくさん走っていました。


 パワーステアリング無し・手で開け閉めする窓・エアコンじゃなくて送風とヒーター・五速どころか四速マニュアルトランスミッション。そんな車を爺さん婆さんが畑や買い物・通院に使ってました。


 当時でも少なかったけれど、フロントドラムブレーキの軽トラを何度か修理した事が在ります。


 今より少しだけドライバーに厳しかった時代。今ほど高齢ドライバーは居なかった気がするけれど、それでも店や歩行者に突っ込んでしまう年寄りはほとんど居なかったと思う。


 まぁそんなローテクな車なんだけど、感覚をフルに使ってやらないとまともに動かない。あと、運転するだけで疲れる。長距離移動なんて苦痛以外の何物でもないし、スピードを出そうなんて思わない。高齢ドライバーは最新の安楽装備満載のクルマを運転禁止にしてこの手のクルマに乗せれば認知症予防に良いんじゃないかって思うし、体が弱ったことを実感して自動車運転を辞めるんじゃないかと思う。


 前にも言ったけど、クルマがドライバーに引導を渡すって奴だ。運転している本人に自分の運転が危ない事を認識させる。そして運転を諦めさせる方向へ持って行く。


 高齢ドライバーの事故が多い昨今に思うんだけど、いろいろな最新の安全装置って有るじゃない。僕らの若い頃は高級車にしか付いていなかったABSとかエアバック、最近は自動ブレーキやら、まぁ色々ついてる。


 メーカーが安全で快適な車作りを進めた努力の成果だと思うんだけど、クルマが進歩しているのと逆にドライバーが甘やかされて退化している気がしてなりません。若いドライバーは甘やかされて退化、高齢ドライバーは甘やかされて本来運転してはいけない連中まで運転している。


 私が今度買うN-VANなんだけど、MT車だと坂道発進が付いてるのか付けられるのか忘れたけれど、カタログに載ってました。


 昔なら「坂道発進が出来んもんがMT選ぶな!」くらい言われそうなもんだけど、まぁ今のクルマの優しい事。これが在ればMTしか乗れないけれど感覚が衰えて坂道発進できなくなった高齢ドライバーも運転が続けられるね……ホンマにそれは良いのか? 


 坂道発進が出来るか出来んか怪しくなって来たら免許を返すべきじゃないの? そんな事を思う私は厳し過ぎるかもしれませんね。


 まぁN-VANの坂道アシストは甘やかすって言うより仕事で使う人の労力低減の為な感じがするから『有り』なのかなぁとは思うんだけどね。


 ハンドルが重い・操作が面倒・スピードが出ない・スピードを出せても辛い・運転するのが疲れるくらいのクルマの方が高齢ドライバー向きだと思う。スピードが出ないなら高速道路に乗ろうって思わんだろうから逆走事故も防げるかもしれない。足の指でちょいと踏めばビュンと走って止まる車よりも、ある程度踏み応えがあって意識して踏まないと踏めないくらいのペダルが付いてる方が良いかも。


 ついでに言わせてもらえばアクセルをすごく重くして、ブレーキを軽めにしてやれば踏み間違えないかも。


 そう言えば『化学は身を滅ぼす』みたいな事を漫画の登場人物が言ってたなぁ……R・田中一郎だったっけ? 自身の身を滅ぼすだけならまだしも、老い先短い年寄りが未来ある若い命を奪うなんて言語道断だ。


 安楽装置なしのクルマを運転出来ないくらい弱ったら免許を返すくらいにして欲しい。事故を起こしてからでは遅い。

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