プロローグ

タイガとリュウジの同時攻撃に高くて分厚く頑丈なファントム城の城壁および正面門を大破させて俺、コウタ、タイガ、リュウジはカイジン王の居ると思われる城の頂上へと階段で駆け上がる。


その途中、次々と襲い掛かるカイジン達を1体、また1体と確実に息の根を止めながら3階に上がると見た事あるカイジンが俺達の目の前へ立ちはだかる。


「やぁやぁ。セブン・ギアーズの諸君。久しぶりですなぁ。」


鮫を思わせるような姿に左右には4つの目を持ち好戦的で血生臭いような雰囲気に立つカイジン軍の幹部スクアーロ。


「特にリュウジ。あの時はどうも。」


「あぁ、忘れもしない。女、子供を痛めつけた挙句に虐殺する貴様の姿を一度たりとも忘れたりしない。」


「良いねぇ。声は冷静でも心は怒りでいっぱいだぁ。」


俺達とスクアーロが出くわしたのは別の戦さ場の近くで民間人がカイジン達に襲われているという連絡をもとに俺とリュウジで駆け付けると、それは酷いととしか言いようのない状況だった。


着いた際には時既に遅く周りを見渡す限りは残された人の片腕やら骨の見えた片足に潰された頭が殆どだった。僅かな希望で生存者を探した結果。


力なく倒れ込む1人の女の子を襲うとしてるスクアーロ。そして目の前には人としての原型を留めていない姿をした両親。


俺とリュウジはすぐさま応戦してスクアーロを退けるが少女はリュウジに抱き着き涙を流しながら言った。


『お願い……あのカイジンを……私の大好きなパパとママの仇を討って!!』


『その約束。しかと受けたでござる』


そう静かに少女と約束を交わしたリュウジだがスクアーロはそんなの関係なしにニタニタと笑う。


そして如何にも下衆で下品極りない性格が分かる声をするスクアーロに俺は沸々とハラワタが煮えくり返りそうになるがリュウジは冷静な面持ちで話す。


「拙者は怒るという感情は持ち合わせてはおらぬ。しかし拙者には約束があるでござってな。」


「もしかして、あの時、食い損ねた女の……」

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