プロローグ

ヤマトはウィザー人とウォーリア人の若い兵士と肩を組んではニカッと笑いながら語る。ヤマトの歌が大好きだって言っていた兵士も勿論居た。だが、無残にもカイジン達の襲撃で呆気なく死んでしまった日には滅多に涙を見せないヤマトでさえ大きな声で泣き叫んだほどだった。


「約束する。例え敵の数が何十人。何百人、何千人と襲い掛かろうと俺達は絶対に死なねぇ。必ず戻ってきて平和になったらお前達と一緒に美味い酒飲んで馬鹿騒ぎするって約束するぜ。」


「必ず……必ずでずよね!!」


「勿論だ。」


若い兵士達は涙を流しコテージを後にして俺達は明日の総力戦の為に早めに休み、翌朝を迎える。


迎えた翌朝。


俺たちカイジン軍の本拠地であるファントム城へと辿り着く。

ファントム城は鬱蒼とした森林の中に高めの丘の上に石材で造られた城であり、城を中心とした周りを囲う高く厚い城壁。


ここまで来るのに鬱蒼とした森林をかき分けなくちゃいけないのに、更に着いたらバカ高くて分厚い城壁に丘の上にそびえ立つ城。


こりゃ攻め落とすには骨が折れるってもんだよな。


「リュウジ。この辺で大丈夫か?」


俺は鬱蒼とした森林の中から、ひときわ大きな幹から2つに枝分かれした特徴的な原木を指差しながらリュウジに聞く。


「うむ。拙者の占いでは、2つに首別れした竜に似た木の前で戦をするのが吉と出てる。」


昨日、若い兵士達が帰った後に俺達は最後の作戦会議としてタイガの発明品をどの場所で使うかで考えていた。


コレをどのタイミングで使うかで戦争の勝利が決まる鍵だ。タイミングを誤れば俺達の負けは必死だ。だからこそ使う場所を考えなくちゃいけない。


牧師のケンジがマジシャンのアスカと科学者のタイガの3人で偵察を行った時にアスカはその周りの景色を撮影したものと地図を照らし合わせた結果、複数の候補が上がり、最後にリュウジの占いでこの場所に決定した。


「確かに、この場所なら見晴らしが良いな。ちょうど城からアップダウンだから敵は攻め込む時も私達のいる所まで駆け上がらなくちゃイケナイからな。」


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