第57話【人の金で遊ぶのは気分がいいな】


一体、始まってからどれ位経ったであろうか?――――


魔王様の貯金を湯水の如く勝手に切り崩し、本物の愛娘である〝フレデシカ〟のため……否――――己のプライドのため、影武者は引き金を一心不乱に握りしめた。


幾百も直撃しても尚、堂々と鎮座する〝MPFマジカルパンプアップフィギュアユミコ〟は、気のせいか我々を、嘲笑っているようにも見えた。


不思議に思った影武者は、店主へ一言物申した。

『店主よ……これだけやっていくらなんでも、倒れないのはおかしいぞ?』


そう言った影武者だが、店主は顔色を一切変えずに、馴れたような口振りで返答した。


『へぃ、何せ〝ゲーム〟ですから。倒れる時もあれば、そうでない時もありますし、今日はそうでない時かも知れませんね……』


『フム――――なら、あと十回分頼む』


『へい……毎度あり』


(クックック……どうやっても倒れない仕組みなのさ。せいぜい平和ボケした頭でやるといい。金をドブに捨ててな!!)



【母上へ 男の勝負はこれからだ!!】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る