第55話【野郎共遊戯は得意だぜ!!】

二匹のマスコットキャラクターに見送られ、長いトンネルの入り口を抜けたその先には――――沢山の人達で溢れ帰っており、周囲を見渡せば高速で場内を動き回り、老若男女様々な悲鳴が聞こえるに、頭上高くから喜んで落下する若者達の姿が眼前に広がっていた。


『ほおぅ――――先程貰い受けた遺言書パンフレットとやらに記されておるな。人々はこの〝黄泉送加速機ジェットコースター〟とやらに乗って悲鳴かんきを上げているのか……』


影武者が感心していると、娘のフレデシカが高さ100Mから自由落下する人達を笑って指を差していた。


『パパ上見てみて~!!命綱等無用バンジージャンプだよ!!』


目の前に広がるのは魔王家族には真新しくあり、妃の〝ユリシャ〟は、首をかしげて何かを見ていた。


『二人共、あれは何かしら?売店の人がこちらへ手招きしているわね。』


フレデシカは様々な乗り物には目もくれず、店員がいる露店へ走り寄ると、人間を模した桃色髪の人形に向かって、瞳を輝かせながら言った。


『あ~、ママ上パパ上~見てみて!!〝マジカル☆パンプアップ☆ユミコ☆ミ〟のPMプレミアムFGフィギュアがあるよ~!!』


そこには三段の土台にいくつもの景品が並び、目の前に用意されている超魔導砲エターナルガンで落とせば獲得ゲット出来る仕組みのようだ


『フ~ちゃんが好きな、人間界で活躍している魔法少女って職業のお人形さんね?』


『我も聞いたことがあるぞ、何やらでは大人気なキャラクターであるな?』


影武者は暫く悩んだ後、良いところを見せるため男を出した。


『案ずるな我が娘フレデシカよ!!父親である我が魔力で、あの〝ユミコ〟とやらを打ち倒してくれようぞ!!』


【ママ上へ 尊敬の眼差しで見つめる母子に、張りぼてではあるが父親ニセモノの意地を見せたるぜ!!】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る