第45話【記念日を祝福せし者達】

 勇者と名乗っているが現れたのは、魔王ほんものと対峙した者ではなく、明らかにであり、観客達は新しい演目だと思い、盛大な拍手と声援を贈っているが、新種の迷い人なんじゃないかな?と思えるほど痩せ細く、鎧に着られている見た目だった。


 老人の後ろには同じ年頃の男女が数人程連なり、遅れながら挨拶を交わす。


『旧き戦友達よ、今宵は宴じゃ!!嫁さんも娘さんも綺麗だなぁ~。羨ましいぞ魔王めっこのこの~!!』


『引退して数十年振りの魔界だが、相変わらず素敵な所だべな~!!』


『あんた達、羽目外して、飲み過ぎには気を付けなさいね?歳なんだからあの世行きだからね?遺書はちゃんと書いたかい!?』


『は~い』と言って、拳に包帯を巻く格闘家――――の格好をするお爺ちゃんに、押し台車で歩く魔法使い――――のお婆ちゃん、その中で若い女性は、極限まで肌を露出させた奇抜な服を着て、魔族を誘惑している。


 決め手は先陣を切った勇者と名乗るゼルピトスが、小脇に抱えた黒色の額縁を天高く上げ、大声でこう言った。


『共に闘い10年前に天寿を全うした、火炎竜【ザスッリード】の分まで皆の衆よ、飲み明かすぞい!!』



『『『うぉぉぉおお!!――――ゲフンゲフンッ』』』


【母上へ 色モノ勇者パーティーろうじんかいが合流したよ!!】





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