『さぁ、今宵の200回記念祝典に突如として現れたのは、あの伝説の【勇者ゼルピトス】と、祝福の光りに導かれし、その仲間達だ～！！』

【竜蔦】は紹介と共に、熱いマイクパフォーマンスを、これでもかと言う程に魅せてくれている。

『んっ！？聞こえんなぁ……儂等は平均年齢83歳だからなぁ……ハッハッハッ！！』

　勇者の号令に聞く耳どころか、難聴の一行（ﾊﾟｰﾃｨｰ）は、かつての怨敵や宿敵と酒を交わし、豪華な料理に舌鼓（したつづみ）を打っている。

　影武者は唖然としており、勇者ゼルピトスと言えば60年も遡る時代に、魔王様（まおうさま）と剣を交わし、永き死闘の末【呑み友達】になったことが後世に語り継がれる程、有名な逸話が今でも伝書に記されている。

　グラスを手に持ったまま固まり、呆然とその光景を眺めていると、勇者が目の前までやって来て、そっと耳打ちをしてきた。

『今朝はすまんのぉ。持病の腰痛で予行練習に間に合わなかったワイ。MC（まおちゃん）本当に勘弁ね』

(ん！？てことは――――魔王様（ほんもの）と闘ったのは誰？……)

【母上へこれは事件の匂いですぞ！！】

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