第23話【勇者が『絶対』なら、魔王は『希望』さ】


 魔装束パーティー用に着替え、白地の布で包まれたお姫様十字架を背負う。

 パッと見では、気づかないだろう……僕の影武者力は、そんじゃそこらの輩と違い最早【神】の領域だからな。

「クックックッ!!」そう笑いながら寝室の扉を開けると、脚が何かに当たるのに気付き、嫌な予感がして背筋を凍らせながら硬直を解くように下を見やる。


【フレデシカが現れた】


「やぁ、我が娘よ……どうしたのだそんなところにいるなんて」


 目の前にいる小さな体は、悲しいのかうつ向いており、時折鼻をすすりながら泣きじゃくりそうな声で喋りだす。


「だって、パパが遊んでくれないんだもん……持っているプレゼントだって悪い子フーちゃんには、あげないんでしょ?」


(可愛いよフレデシカ……でも残念、パパでもなければ祝箱プレゼントでもないからね?)


 よく見たら、お姫様の華奢で綺麗な足が飛び出しているのに気付き押し戻しながら笑顔を見せる影武者だった。



【母上へ 仕送りの黒い額縁追加でお願いします】

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