第24話【脳内戦争】


 先程の泣き顔が嘘のように前を歩くフレデシカは満足げな顔をしている。


「パパ上がフーちゃんのために用意してくれたプレゼント楽しみだな~!!」


 鼻歌混じりで軽い足取りで、王妃鬼嫁の所へ歩いているみたいだった。


(どうやってこのを撒こうかな……いっそのこと……いやいやそれは駄目か)


 頭の中には、影武者の良心である【天使】と一握りの悪意である【魔物】が闘っていた。


「ここは、本当の事を皆さんに伝えましょうよ。これ以上の横暴は、魔王様本物も悲しみますよ?」


 天使がそう言うと魔物は、反撃を開始する。

「そう言ってもよー、っちまったものはしょうがないじゃん?いっそ娘もヤっちまおう魔王ぜ?」


 魔物のささやきが天使である影武者の良心に深く突き刺さりる。


「そうですね……一人も二人も変わりませんよね……」


 天使が魔物に言いくるめられそうになると魔物の中の良心が少しだけ働く。


「いや……やっぱ今のなし!!」


 そんな事は聞き入れず

 天使の良心は完全に殺意へと切り替わり口調が変わる


「ガタガタうるせーんだよ!!フレデシカもろとも魔王城焼き払っちまうぞ!!」


「やめてくれ!!昔の心優しい天使に戻って!!」とそんな妄想を脳内で繰り広げるが勿論解決策はなく、無言で娘の後ろを姫様による血の道しるべを着けながら歩いている影武者でした。


【母上へ ハッピーエンドが見えてこないよ】

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