第3話
何時だったか。彼女が言っていた。
「神ってのは、この世界の摂理なんだよ」
その時の彼女は、少し儚く見えた。何度も神と戦って勝ち抜いている彼女が。何故かその時は、酷く弱い者に見えた。
「その神様を、自分は殺してる」
その代償は、決して小さなものではない。例え相手が、疫病神だとしても。
「その代償は、何なの?」
僕が聞くと、彼女はどうでも良さそうに言った。
「寿命だよ」
「だから自分の家系の奴等は皆んな短命なんだ。まあ、その分、世界の構造とかその他諸々を知ってる奴も多いけど」
何でもない様に告げる彼女は、何時もと変わらない。
「へぇー。そうなんだ」
だから僕も、何時もと同じような反応を返した。
すると、彼女は驚いたように僕を見る。
「あんたの事だから、もっと大袈裟な反応をするかと思った。何なら殺すのを止めろとか言うかと」
「そう?君がその事を理解した上で殺してるなら止めたりしないけど。嗚呼、でも、君と長い間居られないって考えるとそれは悲しいかな」
彼女は微笑んで、嬉しそうにした。その後に冗談めいて言った。
「あんた、既に呪われてるな」
「嘘。僕、もう死んじゃうのか」
ふふっ。死にはしないよ。そう言ってから、彼女とその日は別れた。
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