香澄からのメッセージ
ワシントン州 某レストラン 二〇一五年八月二四日 午後八時四五分
ジェニファーが謎のメールを受け取ってから数十分が経ち、ケビンが運転する車はシアトル郊外にある某レストランの駐車場へ停車した。その後スタッフに案内されて席に座った一同は、そこで飲み物と軽食を注文する。これまで彼らは夕食を食べていなかったが、香澄のことを考えるとのんびり食事を取る気分ではなかった。
飲み物と軽食がテーブルに運ばれた後、フローラたちはそれぞれ喉を潤す。同時に軽食をつまみながらも、ケビン、フローラ、そしてエリノアの視線はジェニファーに集中している。
「み、みんな。これを見てください!」
“待ってました”と言わんばかりに、自分のスマホを皆に見せるジェニファー。そしてスマホに表示されていた文字を見た一同は、思わず言葉を失ってしまう。
『謎のメッセージの内容について』
[私の大切なお友達のジェニー、そして私の大切な知人 ケビンとフローラへ……今頃きっと、あなたたちは私の行方を捜していることでしょう。そして私からのメールをジェニーが受け取る時、あなたたちはおそらく車でポートランドへ向かっていることだと思います――本来なら電話で伝えるべきなのだけど、今回は訳あってメールでの連絡となりました。
でも心配しないでください。私は今、ポートランドにあるトムのお家にいます。そしてすべてを終わらせる前に、あなたたちともう一度お話がしたいです。トムのお部屋で待っていますので、出来るだけ早く来てください。でもこちらへ到着するのは、おそらく翌日の午前〇時過ぎになるかと思いますけど……ね。
だからとりあえず私は、翌日の午前一時〇〇分まで待っています。まだ四時間以上もあるので大丈夫……ですよね?
それからもう一つお願いがあります――“私ばかり迷惑をかけてしまい、本当にごめんなさい”と、エリーとメグの二人に伝えていただけますか? 私の心が弱く臆病であるが
臆病で情けない私の最初で最後のわがまま……聞いてくれますよね?]
香澄より
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