お互いの気持ちを一つにして
ワシントン州 ワシントン大学(教員室) 二〇一五年八月二四日 午後六時三〇分
香澄の行方をつかむためにワシントン大学にあるフローラの教員室へ戻った一同は、そこで一度状況整理をしていた。時折紅茶を飲み心を落ち着かせながらも、的確に情報をまとめていく。
全員の意見を総合的にまとめた結果、彼らはワシントン州内における香澄が行きそうな場所はおおむね回ったと判断した。そこで一同はかつてトーマスが住んでいた場所、オレゴン州にあるポートランドへ向かうことになった。
「……という流れでいいかしら? せかすようで悪いけど、紅茶を飲み終えたらさっそく出発しましょう。私たちがこうしている間にも、香澄は一人で悩み苦しんでいるのだから」
「そうですね、分かりました」
冷静に書記の役割を務めながらも、的確に次に行動すべき内容を伝えるフローラ。誰もがフローラの意見に反対するものはなく、必然的に次の目的地の場所が決まった。
「よし、僕は一度自分の教員室に戻って準備をするよ。時間はそうだな……今から三十分後に大学構内の駐車場へ集合ということでいいかな?」
「は、はい。まだ少し時間があるので、私とエリーは少し心の整理をしておきますね」
「ジェニー、ケビン、そしてフローラ――本当の香澄の気持ちを知った今だからこそ、私はもう一度彼女に会いたい。そして前みたいに、もう一度香澄と楽しくおしゃべりがしたいの。だからみんなで今度こそ……香澄を見つけないと」
ワシントン州 ワシントン大学(駐車場) 二〇一五年八月二四日 午後七時〇〇分
そしてフローラたちは約束の午後六時三十分ごろにワシントン大学の駐車場へ集合し、ケビンが運転する車でサンフィールド家があるオレゴン州のポートランドへと向かう。ここシアトルからポートランドまでの走行距離は約一七四マイル(約二七八キロ)となっており、道が混んでいなければ三時間ほどで到着出来る。
しかし道路の交通状況や込み具合などを考慮すると、フローラたちがポートランドへ到着するのは、おそらく翌日の午前〇時前後が妥当だろう。
『香澄、もう少しの辛抱だからね。私たちが今度こそ、あなたを救ってみせるわ』
車の後部座席で目をつぶり両手を丸く握りしめながら、エリノアは一人香澄の無事を祈っている。その気持ちはケビンやフローラをはじめ、ジェニファーも含めた四人全員に共通した願いでもある。
一目散にオレゴン州のポートランドへと向かうフローラたち――はたして彼女たちはそこで香澄を発見することが出来るのだろうか? そして今度こそ香澄を説得し、無事彼女の心を解き放つことが出来るのか?
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