第28話 令和元年6月3日(月)「××」××××
昨日は結婚式だった。
ホテルでの豪華な披露宴。
今どき、こんなベタな結婚式なんてと吐き気がするような。
新婦は化粧で盛りに盛ってもあの程度と、わたしは鼻で笑う。
純白のウエディングドレスじゃ、そのブクブクと醜い身体を隠せないよと忠告してあげたかった。
新郎が新婦にお似合いだったのが救いだろうか。
6月、ジューンブライトの言葉に釣られたように結婚式の招待状が立て続けに届いた。
今月はあと2回出席しなければならない。
ご祝儀だけでも馬鹿にならない。
とはいえ、欠席すれば何を言われることか。
見栄のために1円もケチらない。
それがわたしのスタイルだ。
結婚なんていつでもできる。
30の大台が近付いてきても、わたしは焦ったりしない。
わたしは美人だ。
スタイルも若い子に負けない。
今もわたしをチヤホヤしてくれる男はたくさんいる。
わたしに釣り合う良い男がいないだけだ。
友だちに自慢できるような良い男が。
いっそ、中学生を自分の手で育てれば良かったかな。
学校では思春期真っ盛りの、欲望にまみれた視線を毎日浴びている。
しょせん子どもと適当にあしらうことが多かったが、ろくな男と出会えない現状を考えるとその選択もあったと思う。
わたしは物思いにふけっていた状態から我に返る。
目の前には忠犬のごとくわたしに従う女生徒がいた。
馬鹿な子だ。
わたしの言いつけならなんだって従う。
どうしても欲しいブランドものの服を買うために、彼女を男に売ったこともあった。
それでも、こうしてわたしに付き従う。
売春の斡旋はいい金になるものの、リスクが高すぎる。
「これを使って」
わたしは少女に手渡す。
新しい小遣い稼ぎの道具を。
「使い方は中に書いてあるわ。失敗しないでね」
「はい」
「あなたのクラスの子は美人ばかりで助かるわ」
わたしは微笑む。
少女は顔を歪めていた。
「キャンプ、楽しんでらっしゃい」
わたしの言葉に目の前の少女は目を伏せた。
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