五章幕間 お姉ちゃん②
「番組の途中ですが、速報です。
本日未明、謎の大崩落を起こした山岳部より正体不明の凶悪な怪人が出現。周辺都市で多数の被害が出ている模様です。詳細は未だ不明ですが、怪人は無差別な殺戮行為を繰り返しながら徐々に南下。被害は爆発的な拡がりを見せており、魔法協会本部は事態の収拾に向け現地へ数十人規模の魔法少女を派遣したとの情報が。。。。。はい、はい。
えぇー、たった今現地の記者と回線が繋がったとのことです。それでは呼んでみましょう。現地の伊藤さん?」
「ご覧頂けて、いますでしょうか。。。ほんの数時間前まで朝の通勤ラッシュの喧騒を見せていた街が、廃墟と化しています。繰り返します、此方は現地の伊藤です。ご覧下さい、政令指定都市の街並みがものの数分。。。いえ一瞬で廃墟と化しました。。。
「伊藤さん、一体何が起きたのでしょうか?」
私は今、横転し潰れた車内からどうにか決死のリポートを試みているところです。この映像が、皆様の元へ届いているのかは分かりませんが。。。(キャーーー!!!)(ギャァァァァァ!!!)
ひ、悲鳴が。。。徐々に悲鳴が此方へと近付いて来ています!
「伊藤さん、伊藤さん?。。。えぇ、どうやら此方の音声は届いていない様です。伊藤さんは出勤途中に巻き込まれ、横転した車内から必死のリポートを続けています。状況は不明ですが、彼女の身に何か危険が迫りつつある様です。。。」
(エーン。。。お姉ーちゃーん、エーン。。。)
女の子です。。。私からは少し距離がありますが、反対車線の歩道を小さな女の子が歩いています。身動きの取れない私には、女の子が無事に得体の知れない脅威から逃げ延びてくれる事を祈るしかありませんが。。。ああ、危ない!!!(バキバキバキバキバキバキ)
。。。。。ご、ご覧下さい♪魔法少女です!魔法少女が来てくれました!女の子の頭上目掛け降り注いだマンションの残骸を片手瓦礫し、颯爽と魔法少女が登場しました♪女の子は無事です。
黒いドレスに、頭に着けているアレは白い狐の仮面でしょうか?未だ幼さの見える美少女戦士が私達の窮地に駆け付けてくれました♪
(どうしたの?。。。あのね、お姉ちゃんが、お姉ちゃんが居ないの。エーン。。。そう。だったら、私が探してあげる。。。)
ちゃんとお届け出来ているでしょうか、心優しい黒衣の魔法少女が小さな女の子の手を取り廃墟と化した街の中を歩いています。天使です、彼女は正に地上に舞い降りた天使と言って間違い無いでしょう!。。。あの、オーイ!私も助けてくれない?オーイ!
気付いてくれました。女の子の手を引きながら、黒衣の天使が重傷を負う私の元へゆっくりと近づいて来てくれます。これは奇跡です。
(コレは、アナタのお姉ちゃん?。。。ぅぅん、違うょ?)
私達は今、奇跡を目の当たりに
『そう。。。じゃぁただの、
「伊藤さん!?伊藤さん!!!」
(キャーーー!お、お姉ちゃん、どうして!どうしてお姉さんを殺したの!?)
『。。。。。お姉ちゃん?。。。私を、私をお姉ちゃんと呼ぶなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!(ビチャビチャビチャ!)』
「ゲェェェェェ。。。」
「止めろ止めろ!!!」
「キャーーー!」
ピーーーーーーーーーー(しばらくお待ちください)」
その女性記者のカメラは、黒衣の魔法少女が幼い女の子を木っ端微塵に爆散させる様子を鮮明に捉え、映像の最後には爆ぜ跳んだ女の子の頭部のドアップが映り込む。
苦悶と恐怖に固まったその無残な
「ねぇ。。。お姉ちゃん、何処に居るの?此処かな?(ギャァァァァァ!)コッチかな?(ヒャァァァァ!)フフフ♪
そっか、かくれんぼだね?もぉ、本当お姉ちゃんはしょうがないな。。。フフフフフフ、フフフフフフフフフフフフ♪」
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