五章幕間 お姉ちゃん



「お姉ちゃん!」


「。。。みぃちゃん、ごめんね?痛かったよね?」


「ぅぅん、みこはこんなの全然平気だよ?」




 ポロポロと崩れる溢れるお姉ちゃんが涙が全然止まらない。。。




「みぃちゃん、ごめんね。ごめんね?」


「良ぃょ。お姉ちゃんは、みこを嫌いになったりしないみこの為にしてくれたって知ってるもん。。。

 だからみこ、全然怒ってないょ?ね、だからお姉ちゃん、もう謝らないで?」




 さっきからずっと回復魔法をかけているみこは笑顔で居たいのに、全然お姉ちゃんが治ってくれない涙が全然止まらない。。。もう傷は塞がったのに、お胸のチクチクが治らないの。。。


 お姉ちゃんは、そんなみこの涙を拭ってくれる。

 残った優しい左のお手々で、優しい笑顔で、、、なのにどうして、この胸の悼みチクチクは止まらないの?みこ達の邪魔をする偽母ババアも、他の雑魚達三色お団子さんも皆死んだ。


 やっとお姉ちゃんと静かに二人きりになれるのに。。。なのにどうして?




「私のみぃちゃん、優しいみぃちゃん、可愛い甘えん坊さんのみぃちゃん、お姉ちゃんはみぃちゃんのことが大好き♡

 みぃちゃんは、、、みぃちゃんはお姉ちゃんのこと、まだ好きで居てくれる?」


「そんなの当たり前だよ?みこはお姉ちゃんが好き!大好き!!!

 お姉ちゃんに殺されたって、みこはお姉ちゃんを嫌ったりしないもん!。。。ね、だからお姉ちゃん」




 お姉ちゃんが、みこを抱き締めてくれる。。。

 力無く冷たい床に寝転んだまま、弱々しくギュッって優しくギュッって抱き締めてくれる。




「みぃちゃんありがとう。。。ねぇみぃちゃん?お姉ちゃんの最後のお願い、聞いてくれる?」


「聞くよ?みこはお姉ちゃんの言う事は何だって聞く、全部聞く、いっぱいいっぱい聞く!だから最後なんて言わないで?」


「フフフ♪そうね。。。みぃちゃん?みぃちゃんは、光の当たるあちら側の世界に戻りなさい。みぃちゃんは、お姉ちゃんみたいになってはダメ」


「お姉ちゃんは?お姉ちゃんも一緒?」


「ぅん。。。お姉ちゃんはずっとみぃちゃんの側に居る。だからみぃちゃんはこれから人として生きて、そしてたくさん幸せになって、ね?約束よ?」


「。。。」




 お姉ちゃんは、黙って頷くみこを撫で撫でしてくれる。

 いっぱいいっぱい、撫で撫でしてくれる。。。




 ************




「お姉ちゃん」


「。。。なぁに?」


「みこはお姉ちゃんが大好きだょ?」


「。。。お姉ちゃんも、大、好き。。。ょ」


「お姉ちゃん?」


「。。。。。ぅん、なぁ、に?」


「お姉ちゃんが元気になったらね、一緒にクレープ食べに行こう?♪クレープはね甘くてね?美味しくてね?お姉ちゃんもきっと気に入ると思うから、ね?♪」


「。。。そ。。。ね」


「お姉ちゃん?」


「。。。。。。な。。。に?」


「お姉ちゃんが元気になったらね、みこ色んな所に遊びにも行きたいな?♪お姉ちゃん遊園地とか行ったことある?あとね、映画とか!お姉ちゃんは何処か行きたい所ある?」


「。。。フフ。。。お、ね、、、は。みぃちゃ。。。。と一、なら。。。でも。。。。。」


「。。。お姉ちゃん?」


「。。。みぃ。。。。ちゃ。。。。」


「なぁに!お姉ちゃん、なぁに!?」


「だ。。。ぃ。す。。。。き。。。。。」


「みこも大好きだよ♡だからお姉ちゃん早く元気に。。。お姉ちゃん?お姉ちゃん!!!!!!」



(カラン、カランカランカラン。。。)



「。。。。。嘘吐き。。。ずっと一緒に、側に居てくれるって。。。言ったのに。。。。。。お姉ちゃん、みこ。。。もぅ一人ぼっちはヤダょ。。。?

 。。。お姉ちゃん、、、、、ねぇ!お姉ちゃん!!お姉ーちゃん!!!お姉ーーちゃん!!!!!

 アァァァァァァァァァァ、アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ。。。。。。」




 深い微睡みに呑まれる様に、その怪人は静かに少女の中へと消えた。

 白き狐の仮面だけを遺し、決して人を食さず、怪人と呼ぶにはあまりに優しく清らかであった彼女は、穏やかな笑みを浮かべながら愛してしまった魔法少女愛するもう一人の妹の中へと消えた。


 泣き叫ぶ悲痛な義妹の叫びに心残りながらも、きっと妹は大丈夫だと信じてその姉は消えた。。。。。



 そう。消えて、しまった。。。







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