四章幕間 それぞれの月夜①
「ん。。。もっ、と。。。もっと、食べ、て。。。もっと、いっ、ぱい。。。みこが、消え、て、無くなる、くら、い」
少女の口付けを、彼女は拒めなどしなかった。。。
単に
柔らかな唇を乱暴に貪り、その血肉。否、髪の毛の一本に至るまで、少女の総てを
内に潜み、静かに積もり続けてきた
怪人達
しかし
それは矜持と言うよりは、戒めと呼ぶべきモノ。否、誓いと呼ぶ方が正しいのかもしれない。
「もっと♡。。。もっと食べて!
この世界に、一欠片も残らない位、全部♡みこを全部食べてぇ!!!
もっと、もっとぉ。。。♡アーーーーーーーーー♡」
どうしようもなく、
しかし元が
。。。。。。そう。
愛してしまった
ジュルジュル、ジュクジュクと。
少女の魔力は止めどなく溢れ、唾液と血液が混ざる甘美なるこの汁は互いの口元を真っ赤に潤す。時折激しく波打つ少女の身体は悦びに奮え、豊潤な蜜をも惜しみなく漏らしている。。。
それはまるで魔性に魅入られたかの如く、
砂漠に水を撒くかの様に、
出来る事なら
(
酷く朧げな微睡みの中、少女の
この何方かの結末が二人を別つまでこの偽の姉妹の一線を超えた
「もっと♡もっと、吸って♡。。。そのまま、みこの、全部、を。
残さず、全部、喰べて。。。アッ♡お姉ーちゃーーーーーーーン。。。」
「。。。プハッ!!!!!!!。。。ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」
最期の一吸。
おそらく後一呼吸もすれば、
だが少女が一際激しく仰け反った最期の際に挙げた絶逝の叫びが、彼女の意識を再び現実へと呼び戻した。
お姉ちゃん。
その何の事も無いたった一言が、彼女の
「。。。。。みぃちゃん、ごめんね?。。。ごめんね。。。」
ポロポロ、ポロポロと。
少女の頬を再び濡らす水滴は、先ほどまでの浅ましき獣達の赤き垂涎では無い。
それは騙すべき偽りの妹を、本当に愛してしまった
「。。。ン♡お姉、ちゃん?。。。もぅ、ぃぃ、の?」
しばしの間を置き、弛緩しきった少女は恍惚とした眼差しで彼女にそう問い掛ける。未だ艶めかしく彼女を求めるその口元は甘美なる終わりを、義姉にもたらされる終末を求めているのかもしれない。。。
「。。。ぇぇ♪お姉ちゃん、もぅお腹いっぱい♡ご馳走さま、みぃちゃん。。。」
本来ならば、少女を
偽るかの様に優しく、愚かしいほどに偽りの無い、真なる愛を込めて、彼女は少女の求めを断った。。。。。。
「お姉、ちゃん。。。くすぐったい」
「フフフ、ごめんね♡。。。そうだ!みぃちゃん?今から一緒にお風呂入りましょ?♪」
「ぅん?ぅん、ぃぃけど。。。でも、みこ、力、入んなぃ、ょ?」
「大丈夫♪お姉ちゃんが全部洗ってあげるから♡サ!行きましょ?」
「。。。ぅん、分かった♪」
少女の眼には、再び彼女が姉の姿に写っている。
それは彼女の怪人としての能力であると同時に少女の望みであり、偽りであっても本物でもある。何故なら少女を抱き抱え廻廊を行くその偽姉は、初めてこの少女を胸に抱いた彼の日から、敵では無く姉として偽りたる妹に寄り添っているのだから。。。。。
「ホホホホホホ。いと可笑し、いと可笑し♪
神夜め、やはり裏切っておったかホホホホ♪。。。さて、此度の余興妾をどれほど愉しませてくれるかや?オホホホホホホホホホ♪」
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