第4話 契約なんか大っ嫌ぃ!
あの日のそれからの記憶は、あまりはっきりとはしない。
冷たい床にへたり込み泣き喚くわけでも無く、ただ呆然とする私の側であのニョロンとした
「君も魔法少女になってみないかい?♪」
しばらくしてアイツが陽気に口走ったこの言葉だけは、今でもハッキリ覚えている。それは何事も無かった様に、あまりにもサラッと聴こえた一言だった。
「。。。どうして。どうして今そんな事が言えるの!
お姉ちゃんは、私のお姉ちゃんは死んじゃったんだよ!!!アナタお姉ちゃんの相棒だったんでしょ?友達だったんでしょ!?なのに何でそんなにケロッとしていられるのよ!!!!!!」
お姉ちゃんの眠っているベッドの上。
そこにチョコンと乗っかりながら私を見下ろす小さなケダモノは、尻尾を僅かにピクッとさせただけでそれ以外は何も反応しない。
そうだ。
コイツはお姉ちゃんが死んだのに、哀しむ素振りもない。
悔しがったり、側に付いていた自分の無力を嘆いたりもしない。増して私からお姉ちゃんを奪っておきながら、一言の謝罪すらしようともしなかった。
「。。。ハァ。命っちさ、何か勘違いしてない?」
それどころかお姉ちゃんの直ぐ側で、ため息まじりに後ろ脚で首筋を掻くコイツの姿に、私の中の抑えようのない殺意がまたズキン、ズキンと煮えたぎる。
「確かにボクと桃っちは友達だったよ?
でもそれはあくまで契約の延長上のお話で、分かりやすく言えばボクらはビジネスパートナーだったのさ。
あのね命っち、魔法少女ってアニメやマンガみたいな慈善活動じゃないんだよ?使命!とか正義!に燃えてるから彼女達は頑張っているわけじゃない。
彼女たちは皆、何かしら自分の願いを叶える為。
自分の欲望の為に闘っているんだ。言わばこれは、お仕事さ♪
だけど当然、どんな願いをも叶えるという報酬を得るには相応の労力と大きなリスクが伴うんだ。それは桃っちも当然理解していたし、覚悟だってしていたはずさ。要は、自己責任♪ってヤツさ!
まぁ確かにボクも桃っちとは仲良かったし、これ程の魔法少女を喪ったことは残念さ。だけどそれ以上に、こんな下らない事で今までの頑張りを不意にしたこの娘に失望しているのさ。
本当に後少しだったんだ。後少しでこの娘は、
「お姉ちゃんはバカじゃない!!!!!!」
その最後の一言で、私は再びバケモノに掴みかかる。握り殺せないのなら、その穢らわしい頭を引き千切ってヤる!もう二度とお姉ちゃんの悪口を言えない様に、その気持ち悪い身体をバラバラにしてヤる!!!
けれどただの女の子だった私の、穢れを知らなかったその手はアイツの
私の殺意をヒラリと躱したアイツは、私の肩の上へと静かに着地を決める。
「やれやれ、八つ当たりは止めてくれるかな?。。。桃っちを殺したのは、キミだろ?♪」
その
(ブチッ。。。)
私の中で、何かが切れた音がした。
「さぁて命っち♪無駄なお喋りは止めて、
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