始まりの日

幼稚園の入園式当日。


桜の花がチロチロと舞い散る。

小春日和のポカポカと温かい歩道を、小さな男の子2人。


と、その母親が歩いていた。


2人の子供は、黄色の真新しい大きな幼稚園カバンを肩から邪魔くさそうにぶら下げて、母親の大きな両手を、2人の小さな手でそれぞれ塞ぎ、ゆっくり歩いている。


一人の子供は矢城 勇人。


もう一方の子供。

弟の名前は、矢城 アイン。


ちょっと奇妙な名前だが…。


2人はそれを気にはしていない…。


それは、DQNネームに慣れているとか、幼くて理解出来ないからでは決して無い…。


2人の髪の毛はこざっぱりと整えられ。


黄色の真新しい幼稚園帽子で隠し。


いつもとはまるで違う、真新しい水色の服を着せられていた。


母親の格好も、なんだかいつもとはまるで違うので…。


勇人は不安気に母親を見つめた。


そんな勇人に気づき、母親は微笑みで安心感を与えようとしたが…。


なんだか小刻みに震えるチワワっぽく可愛いので、別の意味のほほの緩みが増していく…。


そんな汚れた微笑でも、勇人にとっては安心出来る存在となった。


チラホラと2人と同じ格好をした、状況の似たような子供が、徐々に増えてきた気がする…。


その中で勇人が目を移していくと、自然ではあるが何故か目立つ存在がいる…。


その親子から妙な違和感を感じて仕方が無いのだ。


その子の母親は、冷たそうな表情に品のある高そうな服と靴を身にまとい、颯爽と歩いている。


まるで今日は自分が主役のように。


その母親に必死について行く、吹けば飛ぶようなヨワヨワしい子供。


入園式での自己紹介で知ったが、名前を高松 ソナタというらしい。


周りにいる子供達と、そうたいした違いはないが…。


突然である…!。


勇人は、ハッと!?

今までのあらゆる事を思い出した。


アインの方を見ると、アインも何か確信めいた表情で勇人を見つめている。


彼、高松 ソナタが勇人とアインの探していた人物だったのだ。


今から…。


そしてココから始まる。


地球滅亡を回避する為の…。


ひいては宇宙を救うための…。


友情ゴッコと…。


愛情ゴッコが…。


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