原産地ははっきりと
「なぁ、ファイヤーターキーって希少種だよな?」
「だね。野生のファイヤーターキーの密猟は禁止されている。」
「じゃあ、それはなんだ。それは!」
森にスパロの声が木霊する。あれ、デジャヴ。
「ファイヤーターキー。」
「どう見ても、死んでるよな?」
「おう、いつでも食えるぞ!」
「密猟じゃないか!もしくは権利の乱用!」
「あぁ、安心しろ。これは私が育てたファイヤーターキーだ。」
少女がドヤ顔で言った。
「……ファイヤーターキーって家畜だっけ?」
「いいや、違う。私はスパロも知っている通り只者じゃないから、その溢れる才能で飼っているだけだよ。」
「自画自賛してやがる……。」
「事実だからな。そもそもファイヤーターキーの保護はうちのギルドの仕事だからな。」
「そうなのか?」
「あぁ。少数だけど、食用に認可の降りたファイヤーターキーも出回っているだろ?あれは私が育てたファイヤーターキーだよ。」
「わかった。なんかもうファイヤーターキーへの疑問を持つのはやめよう。」
スパロはいそいそと準備を始めた。せっかくのファイヤーターキーなので、気合いをいれるのだ。
丸焼きもいいけれど、こんだけ量があるから色々作って食べた方がいいよな。煮ても焼いても、蒸しても、揚げても、燻しても良しの食材だからな。
スパロが持ってきていない調味料や道具は全てあーちゃんが持っていた。さすが、用意周到。
そして、
「できたぁぁぁ!」
広げられた敷物の上には皿がみっしり。ファイヤーターキー料理が沢山並んでいる。肉ばかりにならないように野菜も多く使われていて、とても健康そうな食事である。尚、皿やその他の食材はあーちゃん提供。
「凄いな、スパロ。お前料理上手いんだな。」
「昔、色々あって鍛えられたからな。ちょっと作りすぎた感があるが、大丈夫だよな?」
「あぁ。私はそれなりに食べる方だし、いざとなったら魔導収納で持って帰れる。」
「便利だな。」
「おう。いつでも好きなときに食べられるぞ。」
「そしてそのまま忘れそうだな。」
二人は取り皿を持ち、敷物の上に座った。
そして、
「「いただきます!!!!!」」
勢いよく食べ始めた。
この照り焼き!皮がパリっと焼けていて旨い!
このハンバーグは柔らかくてご飯によく合う!
この唐揚げは噛むたびに肉汁が溢れ出てくる!
この料理は味付けのスパイスは配合が絶妙だ!
食べながらもスパロはファイヤーターキーの旨さを噛み締めていた。ファイヤーターキーへの感動5割、自分の腕への称賛3割、ファイヤーターキーという食材への感謝2割。
もぐもぐと食欲旺盛な二人は次々に皿を空にしていく。
「あぁ、旨い!この調子なら残さなくて済みそうだな!」
「そうだな!魔導収納を使わなくてよさそうだ!」
「せっかくだから甘味も欲しいな。別腹だし。」
「魔導収納の中に色々入っているぞ。」
「よっしゃー!」
二人はその後ファイヤーターキー料理を完食し、デザートにあーちゃんの持っていたクリームブリュレを食べるのであった。
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