劣等感は克服できない

綿麻きぬ

授業中

 ごくごく普通の日常の一部である授業。授業はいつもと同じ。


 ふと、顔を上げたとき、私は知らず知らずに抑えていたものが溢れ出てしまった。


 他の人から見れば異常に見えただろう。なんせいきなり泣き出してしまったのだから。


 普通の人は授業中になんか泣き出さない。私は普通ではなく異常なのだ。


 私だって何が起きたか分からない。急に涙が頬を伝った。


 その涙は止まることを知らずに溢れでてくる。


 なぜ涙が出てきたのか分からないまま、世界は私を中心に止まっている。


 そんな世界が歪み出してきた。周りにいた友達は仮面を被った人になり、私を嘲笑っていく。


 そいつらは私を否定していく。


 否定を否定しようと反論を試みるが反論など思い付かない。


 ただ、出てくるのは自己否定の言葉だけ。


 きっとどこかで間違ってしまったのだろう。そうだ、間違ったんだ。それはきっと私のせいではない。


 周りからの劣等感。何をやっても失敗する自分。


 それを補おうとして努力をする。努力したって追い付かない。


 どれだけ努力したらあなたたちに追い付けますか?


 あなたたちはいつになったら私を認めてくれますか? 承認してくれますか?


 絶対にいつまでも認めては、承認してはくれない。


 知っている、知っているとも、あなたたちはいつまでも私をバカにし続ける。


 私の劣等感はどうやったら払拭できますか?


 この答えは「出来ない」なのだろう。


 あぁ、私は何を目的に生きているのだろう!


 あぁ、色んなレッテルを貼られて!


 こうやって私は壊されていくのです。それなら、私が壊される前に周りを壊さないと。


 私は近くにあったシャープペンシルを手に持った。


 そして仮面を被った一人の人に振り下ろす。


 私の何かを叫びながら。今までの何かを。


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劣等感は克服できない 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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