カメムシパニック
小学校の夏のこと。
当時、「自宅で葬式をやる」のが何ら不思議でなかった時代でした。むしろ葬儀場でやるほうが珍しかった……今はいい時代になりました。家じゃ大変だもん。
話を戻して。
従妹の家で祖父の葬儀をしました。子供たちの控え部屋は必然的にその姉妹の子供部屋に。部屋は家の二階にあります。
葬儀前、窓が少し空いていたことに気づかずにそのまま会場に降りてしまいました。大体2時間3時間の間のことです。
部屋に戻って電気をつけた瞬間
「ぎゃーーー!なにこれ!」
「あー!窓空いてた!ここから入ったんだー」
部屋中、右も左も、天井も床も、棚も電気の紐も、どこもかしこも緑のカメムシだらけ!
こいつ臭いんだよ!特に!
別の所から来ていた従妹は虫大嫌い! 恐ろしいものでも見たかのように隣の部屋へ。
私と、その部屋の住人である従妹2人、子供ばかり3人で片っ端からティッシュでつまんで外へ出します。
途中うっかりつぶしたりして「くさいーー!!」などと喚きながら、外へ捨てると、先ほど外へ出したはずのカメムシが隙を見てUターン!来んな!
それに臭いからといって窓を開けられません。網戸でしのぎますが、その網戸にもいつの間にか数匹たかっている……。
退治完了するまで電気を消すわけにもいかず、あれはなかなかの戦いでした。もう二度とやりたくない。
このカメムシがどんなだったかは覚えていませんが、おそらくもうその辺に居る、チャバネアオカメムシ、アオクサカメムシらへんでしょう。
昔テレビで見た、カメムシは自分のにおいで気絶するという実験を見て、それだけの臭気じゃ網戸で換気していても部屋中臭くなるわなぁ……と納得しました。
一つ不思議だったのが、カメムシ以外の虫の記憶が全くありません。
外も葬儀の為電気が煌々とついているので、違う虫も呼んでいたはず。
葬儀が終わって部屋の明かりをつけたら、普段なら網戸に他の虫が寄ってきておかしくない状況だとおもうのですが、カメムシの姿しかなかったような。
いてもカメムシに気を取られて気にしてる暇などなかっただけかもしれません。
もしくは、その臭気に他の虫すら逃げ出したのでは……なんて考えたりしています。
その夜、私たち一家はその家に泊まり、従妹2人と自分の3人はその子供部屋で寝ました。夜、取り逃した数匹がブーンと飛ぶ度、ギャーギャー言ってたのも今ではいい思い出です。
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