【3】Ace May cry : Collapse day 5/5 (11)
「エクスプローション!」
爆裂魔法が炸裂し、廊下には衝撃波が走る。
「普通の日本人」たちは思わぬ一撃で吹き飛ばされ、身悶える。
「かかってこい!」身悶える彼等に向かって魔法を放った声の主は更に高く声を張り上げ威嚇した。
「かかってこい!お前らのお望み通りの悪魔がここにいる!」
先頭に立って慣れない魔法を放つのは琴、その人だった。
慣れない魔法やモップで武装した官民合わせた戦闘部隊は「普通の日本人」の脅威に追い詰められ、じりじり後退しながら望みの薄い救援を待ち続けていた。
「くそっ……どうしてこんな事に……。」
琴の隣で共に戦う県庁職員がそんな愚痴を垂れた。止めろと上司は彼を叱った。
「社会に完全な善と悪なんかない、本来なら両方とも持ってる灰色のモザイクを受け入れるべきなんだ。」
そう言った後、その人物は随分と悲しそうな顔をして続きを話した。
「だが、奴らにはもうその余裕がない。おまけに悪を倒すのは最大の娯楽だ。今までも見てきたから分かる。」
失望、しかし放水と魔法と即製のモロトフ・カクテルの応報はさらに激しさを増していった。
「いくわよ、二発目!エクスプローション!」
爆裂魔法が再度炸裂した。しかし、倒れた死体を踏み越え、「普通の日本人」たちは次から次へと突入してくる。
「少数相手に数の暴力、卑怯じゃない?」
怒りに任せて琴はこの理不尽な状況に況に怒鳴った、そして突っ込んでくる「普通の日本人」達の中で誰かがその言葉をきちんと聞き取れたのか、反応が返ってくる。
「お前らの相手は私達だけじゃない!」人だかりの中で「女性の権利を求める市民の会」と書かれた鉢巻をした中年の女が罵声を浴びせてきた。
「この国に生きる、全ての人!全ての虐げられたものの怒り!私達はそれを背負っている!」
「金持ち特権を許さない盛岡市民の会」に所属する男性が叫んだ。これに琴は「勝手にしろ!」と喧嘩腰に言った後「かかってこい!この、人でなし!」と挑発する。相手が相手ならこちらもこちらだ。短気な返答で相手を煽り、戦いは激しさを増してゆく。
「おい、見ろ!」戦いの中、市役所職員の男が駅側から溢れる一団を確認した。「助けだ!助けが来たぞ!」
誰もが皆、歓喜を上げた。助けが来た救われる。見ると、警察官の服を着た人影を含む一団がこちらに向かっている。
琴ももうすぐ助かる。と安心した。生き残れる希望に全員があと少し、あと少し耐え凌げば生き延びれるという希望に包まれてていた。
警察官の服装と武装を持った「普通の日本人」が現れ、彼らに銃弾を浴びせるまでは……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます