軽1ボックスに目覚めた。

 何年か前に亡くなった某自動車評論家が『車を買うのは面倒だから、気に入った車はとことん乗り続けたい』みたいな事を言ってた気がする。そこで京は今度こそ自分に合った車にしようと無い頭をフル回転させて考えました。


 我が家は田舎に在ります。車は一人一台無いと通勤や通学、そして買い物に不便な地域。しかも雪がそこそこ降って積もる。親父が乗っているミニバンが在るから大人数が乗れる車は要らない。そこでふと見ると母親が乗っているバモスがある。最近(と言っても十数年前の話だが)は660㏄、特に新規格になってから装備は充分だし車内は下手なセダンより広い。一時期は4WDだとオートマが選べなかったけれど、いつの間にか選べるようになってた。


「よし、次のクルマは軽の1ボックスや」


 その頃は整備士を辞めて配送の仕事をしてたんだったかな。仕事場のスズキエブリィは便利だったんだけど、タイヤハウスが邪魔でアクセルやブレーキが左寄りでした。体をねじるようにして運転するから腰が痛い。それとミッションが三速オートマチックで『2速で走るとうるさいけれど、3速に入ると坂道で加速しない』って感じだったので、重視したのは運転姿勢の自然さとギヤの繋がりです。


 エブリィで三速オートマが心底嫌になった。そのおかげでカブまで四速化してしまうほどになった。今思うとエブリィのギヤ比は三速のカブに似ていた。


 中古車はRAV4で懲りたから新車で。母と同じバモスにしようかと思ったけれど、正直言えばバモスみたいな豪華装備は要らない。そこでバモスの母体となった『アクティバン』に注目しました。これなら軽貨物だから税金は安いし、装備だってエアコン・パワステ・4速オートマで問題無し。さんざん苦労したタイヤ交換もバモスと同じく12インチの小さな軽いタイヤだから問題無し。


 何と言っても運転姿勢が自然だったんですよね。若干運転席が左寄りになっていて助手席は狭いけど体をねじる様に乗らなくて良いのが最大のポイントでした。バモスホビオプロにしようと思ったけれど、これでも豪華装備。京は質素な車が好き。そこで出てきたのがバモスと共通のボデーで内貼りが質素な『アクティバン』です。


 質素な方が掃除が楽なんだ(笑) コンプレッサのエアーで吹けば掃除完了ってね。


 まぁ京にとってはナイスな車でしたねぇ。少しだけ遅いけれど、燃費は(RAV4と比べて)抜群に良いし、乗り降りが便利。荷物が積めて人が乗れて車中泊だってできる。追加でCDプレイヤーを付けたからテープにダビングしなくてもそのままCDを聞けて……本当に自分にピッタリな車でした。


 知り合いたちからは「たこ焼き屋でも始めるんか?」と言われたりしました。その要らん事を言った奴がトヨタのポルテだったかな? 両側スライドドアのクルマを自慢して来たから「いや、俺のクルマは両側スライドドアだけじゃなくて普通のドアも付いてるし」なんて言ったのも想い出。


 アクティバンは4WDのAT車。エンジンは縦置きミッドシップでした。F1と同じですね(笑) すっかりアクティバンを気に入った京は「これで十分やん♪」等と言いながら、十数年間乗り続けるのでした。


 そして十数年後。悲しい別れが訪れるのです。


 アクティバンの動画は無かったので、乗用車版のバモスを買った外国人の動画をどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=-6pv-Y6Rsyc

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