ep6/??「絶望のコンテニュー」

 巨大なエターナルを撃退すべく、ノベライザーは小手調べに近くのデブリに向かい想像の力を発揮。

 形を組み替え性質までもを変質させた物質は一つの機雷と化す。それをいくつも生成し、エターナルへと向けて解き放った。


 無数に伸びる腕のいくつかに触れるや否や、機雷は爆発。それがいくつも連鎖していきあっという間に白い渦を飲み込んでしまう。


「どうだ……!?」




 ──おぎゃああああぁ……!




『威力は強めに設定したはずなのですが効いているようには見えませんね。どこか弱点はあるんでしょうけど、それらしきものは見あたりません。怪しいのは渦の向こう側といったところでしょうか』


 爆撃の跡から奇妙な産声を上げつつ這い出るエターナル。その様子を見る限りダメージが通ったようには見られない。

 バーグは弱点は渦の向こうに隠されていると推測。カタリもそれは同意で、これまで弱点を狙って撃破してきたエターナルは全て体内とも呼べる部分にそれはあった。


 あの渦が本体の隠れ蓑、あるいはそのものだと仮定すると、腕をどうにかするよりも渦に直接攻撃を当てるのが効果的に考えられる。経験とAIはそう判断した。


「次、ミサイルを想像。数はとにかく沢山。この辺にあるありったけのデブリを変換するよ」

『がってんです! 操作は私にお任せを!』


 もはや想像からの創造には手慣れたもので、ノベライザーの干渉範囲内にある全てのデブリを望む物にへと作り替えていく。

 それはまさに神の如き所業。実体ある物体の変換という純粋科学では何百年ともかかりかねない事象に逃げることに手一杯だった春季も驚かされるばかりだ。


 生成された数十発ものミサイルを点火。バーグの操作によりエターナルの腕を回避しながら渦の内部へと誘導していく。

 流石に全発命中とまでいかないものの、それでもいくつかは最後まで残り目標地点へ。案の定渦の奥には空間が広がっているようで、ミサイルもその内部へと突入し、爆破を決め込んだ。




 ──おぎゃあぁぁぁあ……!?




「効いた……? やっぱり本体は渦か!」

『断言はしませんがその可能性は十分にあり得ます。少し勿体ない気もしますが、外訪者アウターから集めた線孔攻撃もぶつけてみま──』


 この好感触に喜びを顕わにするものの、次なる提案をしようとしたバーグの言葉をかき消してしまう声が通信から鳴り響く。


『なっ……!? ど、どうしてだ!? 何が……』


「えっ、エルンダーグが失速してる!? まずい、このままじゃ追い付かれる!」


 がくんっ、と唐突にエルンダーグの推進器の火は弱まり、速度を急速に落としていく。

 これはどうやら春季の操作ではないらしく、本人もいきなりの失速に動揺しているのが伺える。単なる偶然にしてはタイミングが良すぎる気がしなくもないが、今はそれを気にしている余裕はない。


 減速したということは、それ即ち後ろから追って来ているエターナルとの差は縮まってしまうということ。無数に伸びる腕の群は爆破の怯みから回復し、再びエルンダーグを襲う。


「やらせるかぁっ! ノベライリング・メディキュリオス!」


 だが立て続けに発生したトラブルとピンチにも負けじとカタリも対応。フォームチェンジで魔法使いから紅白の姿を変貌。スレイブビットを展開し、腕からの脅威を迎撃する。

 無数の腕を紅い燐光を纏ったビットで切り刻む。ノベライザー自身も生成した剣で敵を捌いていくが、本体との距離が近付いていくとその数も倍に倍にと増えていく。


 このままではエターナルに捕らわれるのも時間の問題。これを打破するには高性能AIに頼るほか無い。


「だ、だめだ。六個だけじゃ全然足りない! バーグさん、この状況なんとかならない!?」

『ぐ、ぬぬ。魔法陣で纏めて押し出すのは……でも一度留めたところで迂回される上に魔法陣は二つが限界。ビームで焼き払っても腕は無限に生えてくるでしょうし……。駄目です、接近された以上こちらから打てる手はありません……』

「そんな……」


 が、頼みの綱であるAIもこの状況をひっくり返せる手は持っていないと判断。完全に詰みであることを知らしめられた。

 そして結論が至ると同時に遂にノベライザーによるエルンダーグ防衛をエターナルは突破。深紅の機体に腕の群は巻き付いた。


『うぐっ……!?』


 細々とした見た目とは違い強靱な腕力でエルンダーグの進行を完全に引き留める。それによって機体は急制動し、内部の春季にGによる容赦のないダメージを受けてしまう。

 そしてパイロットのことなどお構いなしに、今度は進行方向とは反対にある渦の中へと引き吊り込もうとする。


『やっぱり、今回も駄目だった……。くそっ、せっかく希望が見えたのに……』


 諦めきった弱々しく呟かれるやりきれない言葉。ノベライザーという望みを以てしても達成することが叶わなかったループからの脱出に悲しむ声が痛いほど心に突き刺さる。

 延々と始まりの場所へ戻される苦しみから逃れられない運命を背負わされた彼を放ってはおけない。カタリはある行動に出る。


「僕も、僕らも着いて行こう! 渦の中に!」

『なっ、それは危険ですよ!? 入ったら何が起こるか分かりませんし、そもそもL4に戻されるならこのまま直接向かって待つのが得策かと』

「それもそうだけど、でもなんか……普通に戻っても駄目な気がするんだ。エルンダーグと一緒いないといけない、そんな気が。だからお願い! やばくなったらすぐに逃げるから!」


 この提案にバーグは警鐘を鳴らす。それはカタリ自身も理解していることではあるが、どうにもこの選択をしろと勘が告げていたのだ。

 これまで幾度と無く危険な賭けには出ては成功を納めてきている。無茶無謀は承知の上──それを踏まえてバーグに頭を下げて頼み込む。


『……分かりました。もしもの時は身の安全を優先してくださいね』


 一瞬黙りを決め込むバーグではあったが、小さくため息をつくと賭けに出ることを了承してくれた。

 認可を得たカタリは機体を動かし、渦に飲み込まれかけているエルンダーグに密着。そのまま光の渦の中へと一緒に飲み込まれていく。


 エターナルの内部へと引き吊り込まれた一行。中は真っ白な世界が広がっており、一見しただけでは何もない無の世界にしか見えない。


「ここがエターナルの内部。真っ白で何も見えないなぁ。攻撃を受けてるって訳でもないし、本当にただここにいるだけみたいな感じだ。……あれ、なんか反応が薄くなってる?」


 本体説が正しければセンサーがエターナルの弱点を捉えるのだが──それでも反応らしいものは一切無い。それどころか徐々にエターナルそのものの反応が弱まっていくのを進行形で確認している。

 ここは正真正銘エターナルの内部。言わば全域がエターナルそのもの。それにも関わらず、反応が弱まるなどというのは普通であれば決してあり得ないことだ。


 異様な現象を前に、無言で考えを進めていたバーグの表情は一層堅さを増していき、そして一つの結論に至る。


『……そうか、そういうことでしたか。このエターナルの正体は──』

「ど、どうかしたの? って、なんだ、光が強くなっていく……!?」


 相方の閃きと同時にモニターから強烈な光が発せられる。目映い光はカタリの視界を奪い、目の前で起きている事象を隠し去ってしまった。











「──まただ。またやられた……」


 無限に続く暗黒の世界。そこで彼は絶望のリスタートを切ることとなる。

 光の腕に捕まり、渦の中に引き吊り込まれては戻されるまでを幾度とも無く繰り返させる。いつからか始まったそれは、例外なくエルンダーグをL4へと回帰させ、全ての努力を無駄してしまう。

 この事象に例外などこれまで一度も無く、どこまで時間をかけようとも全てを始まりに帰す謎の現象は異界の怪物によるものだと判明した。


 それの仕業であることを明らかにしたのはループを繰り返す中での唯一の例外として邂逅した別の世界よりの来訪者ノベライザー。延々と続いていく地獄の道のりに突如として現れた希望だったが、そんな彼らとも離されてしまった。

 一度は抜け出せたはずの孤独が再び春季に降りかかる。聞き慣れた静寂さが、異様に苦しく感じてしまう。


「……何時間も経ってないのに、一人でいるのがここまで寂しく感じるなんて、思わなかったな」


 それは彼にとって予想外のことであった。これまで一人で戦い続けてきた中で、ある意味初めてと言っても過言ではないほどに近い距離で接してくる人物たち。

 顔は見えずとも声で分かる歳の近しいであろう男女二名の存在。冷静になって思えば実にあり得ないことだと思い知らされる。


 なにせここは人類の存在を拒む生命体が跋扈する世界。地球から無人機や物資の救援ならまだしも、身体改造も施していないであろう同世代の少年少女が所属不明の機体を駆って味方として現れた──そのような創作物でしかあり得ない存在を今の今まで夢に見ていたのかもしれない。


「…………はぁ」


 思わず深いため息が漏れ出してしまう。

 あれがイマジナリーだと思わなくてなんだというのか。春季は掴んだはずの藁が幻だったかのように、再び彼らの存在が幻覚だったのだと思い直そうとした時──



『……はっ! ここは……あ、エルンダーグ! よし、どうやら僕たちも一緒に元の場所に戻れたみたいだね』

『全く。毎度ハラハラさせることをしてくれますね、カタリさんは。でもまぁ結果として敵の真相が判明出来たので吉としましょう』



「えっ──ま、まさか。あなたたちも……巻き込まれてたんですか……!?」


 その声が耳に届いた瞬間、春季は自身の心臓が大きく跳ね上がるかのような感覚に一瞬襲われる。

 歳もさほど離れていない若い男女の声。何度も繰り返してきたループの中で出会ったイレギュラーを体現したかのような存在が、自身と共に回帰へ巻き込まれていたという事実にただ驚かされるばかりだ。


 ループを繰り返していく内に春季は気付いたことが一つある。それは、L4に戻される度に身体の不調や薬による効果も元に戻されるというもの。

 つまり、ここにいるノベライザーは投薬の副作用や興奮などで認識する幻覚などではなく、真の意味で現実の存在なのだということを改めて思い知らされることとなる。


「そうか、あの人たちは……そこに本当にいるんだ……!」


 幻だと思った藁は、確かに実在し、この手で掴んでいた。それを知り、春季は改めて希望ノベライザーを信じる決意を固めた。











 ノベライザーとエルンダーグの両機は再びL4に戻され、振り出しとなったこの旅路。再度目的地への出発をしようとする春季だったが、それをバーグは差し止めた。


『春季さん。行く前に一つ大事なことをお伝えしなければなりません。とても重要で重大な話となります。聞いてくれますか?』


『え? は、はい。大事な話……?』


 春季はこの旅でおそらく初めてと言ってもいいアウター核へと進め続けてきた歩みを止めさせる。

 彼にとってこの一分一秒が幼馴染みを救うロスタイムになるのだが、それでも面と向かって話を聞こうとしているのは、薬の効果が薄い今だからこそという以外にノベライザーの存在を信じたことが大きい。


 お互いに本当の意味で協力を結ぶ関係になった。わざわざエターナルに飲み込まれた甲斐があったというものである。

 それはそれとして、バーグによる説明……もとい春季へ衝撃の事実をカミングアウトすることとなる。


『まず春季さんは“平行世界”というものをご存じでしょうか。この世界とは違う別の同じ世界……というのが一般的な認識のはず』


『ええ、まぁ……。よく創作物の題材になるようなやつですよね。それと関係があるんですか?』


『はい、大アリです。結論から言いますと、この世界に潜むエターナルはその“平行世界”の存在を操り、やや特殊な形で世界の文字化を目論む『ブラーヴァ級』と呼ばれる危険な個体であることが先のループ……否、“世界線移植”で判明しました』

「世界線移植? それどういうことなの、バーグさん」


 いよいよ正体が判明する今回のエターナル。それはこれまで何度も会敵してきたエターナルの中でも特に難解な能力を宿すものだった。

 カタリも、そして勿論春季も今一ピンと来ない能力。世界線を操るとはどういう意味を持つのか、それが解説される。


『対象をifの世界へ飛ばすとお考えいただければ説明としてはもっとも簡潔でしょう。例として春季さん、あなたが過去、朝食で食べようとしている目玉焼きにかける調味料を醤油かソースかで選ぼうとした時、どちらを選択します?』


『え、えーっと。普通醤油じゃない? 今までずっとそうだったですし』


『なるほど。では、その時気まぐれでソースを選び──そのままエルンダーグに乗るまでの人生を正確に辿った世界があったとしたら。いえ、調味料以外にも“じゃんけんでパーを出さずにグーを出したら”や“○×問題の最後の問いに○ではなく×と記入していたら”等々、ほんの些細な選択肢から発生した選ばなかった方の未来if移植ばされたとしていれば……どうします?』


『ど、どういう、意味ですか……!? 何を言って……』


 妙におどろおどろしく説明をするバーグ。内容こそで構成された仮説だが、その意味を理解出来ずにいる。

 そう、エルンダーグとそのパイロットの置かれている状況。彼にとってそれがどれほど深刻な物なのか、カタリも遅れて理解した。


『単刀直入に言います。あなたはエターナルの力によって、ループする度に別世界線の自分自身の身体に始まりとなった世界線の人格と記憶を上書きした存在となっている可能性が非常に高いです。そしてこれは春季さんへ辛い現実を突きつける話になります。それが──』

「この世界の冬菜さんは今の春季が救いたい冬菜さんではない……ってこと、だよね?」


『…………えっ』


 語られる現状の真実。それはこの戦いを延々と繰り返す春季にとって、耳を疑いたくなるような話であった。

 自らの人生を代償に外訪者アウター殲滅の旅をするのは、囚われの幼馴染みである芹井冬菜という少女のためだ。全ての戦いを終わらせ、帰りを待つ彼女を迎えに地球へ帰還する……それが春季の願いであり最終目標である。


 だが、そんなことなどお構いなしに突きつけられた真相は、これまでの長旅と努力、そして想いまでも泡沫にしかねない残酷げんじつによって踏みにじられる。

 平和だった日々も、運命を大きく変えたあの始まりの出来事も、別れ際のやりとりも──それらを抱えて今までを生きてきた春季をあざ笑うかのような真実。


 これまで幾度と無く繰り返してきたループはどれも、知らない世界の知らない冬菜そんざいを救おうとしていた事実が、彼を酷く混乱させていく。


『フユが……僕の知らないフユ……? じゃあ、僕が僕が救おうとしていたフユはどこに……!?』


『本来の世界線は無数に存在する世界線の中に埋もれているでしょう。ノベライザーで探せないこともないですが、それは砂漠の中に紛れ込んだ砂粒を探すようなもの。決して現実的ではありませんし、それに──一番の問題は春季さん自身です』


 狼狽しながらの問いに答えるも、やはり返せる回答は分かり切ったもの。さらに別の問題も重なって発生していることを指摘する。


『先ほど言ったとおり、春季さんは現在、別の身体に別の人格と記憶を移植された存在です。例え本来の世界線を見つけ出したとしても、あなたを今のまま元の世界に帰すとこの世界の春季さんはいなくなり、さらに元の世界には春季さんが二人存在することになります。そうなれば世界が想定していない事態に修正力を働かせ、最悪どちらかの存在が抹消される……かもしれません』


『そんな……存在が消えるなんて。じゃあ、僕はどうしたら……』


 とどめを刺すかのような最後の回答により、春季は完全に失意のどん底に突き落とされてしまう。


 世界の救世主たるノベライザーでも困難を極める作業とまさしく神の所業とも言える歴史の修正力という存在。下手をすると存在が消えかねない危険な挑戦を挑む勇気を今の彼は振り絞れなかった。

 存在が消えてしまえば、おそらく冬菜は春季のことを忘れてしまうだろう。例え別の世界のことであっても、それだけは嫌だった。


「バーグさん、なんとか出来ないの?」

『うーん、一応フォローしますと過去に多少の差違はあれども冬菜さんは冬菜さんですし、おまけにループすると時間もL4に初到着した時点にまで遡っているようなので、状況的にはほぼコンテニューしたと言ってもいいでしょう。いっそのこと全てを割り切ってしまうのが一番楽な方法なんでしょうけど……』


 ちらりと相手方をモニター越しに見やる。

 そこに宙空に浮かぶ紅い魔神は、スリット状のカメラアイをこちらに向けて沈黙しているように見えるが、そのパイロットから伝わる悲しみと絶望が、無機的な表情に悲しげな雰囲気を纏わせている。


 春季と冬菜の間にある関係性は、カタリたちが軽く目を通した無機質な文字列で表したデータだけでは分からない何かがあるのだろう。本人もそれが割り切るという最も楽な選択を選ばせないようにしているのだと予想はつく。

 長い悲しみの沈黙を保っている春季。唐突に質問を投げかける。


『バーグさん。エターナルっていうのを倒せば、僕はどうなるんですか?』


『推測の域は出ませんが、何も起こらないかと。倒しても元の世界に戻ることも、あなたが消えることもないはずです。ただ、この世界に取り残されるだけでしょう』


『そっか……そうですよね。そんな都合の良いことが起こることはないですよね。はは、じゃあ僕は、今まで何をしてきてたんだろう……』


 全てを理解し、絶望した春季の空笑いする声が伝わる。

 これまで繰り返してきた戦いがどれも救いたかった者のためではなかったという事実に打ちひしがれ、もはや笑うことしか出来なくなった彼は計り知れない虚しさに苛まれているのだろう。


 これほどまでの深い絶望に苦しめられる者の姿を見たことはない。励ましの言葉をかけようとするも一瞬躊躇うが、カタリは負けじと精一杯の言葉をかける。


「春季。とにかく今はエターナルを倒すことを考えよう。もしかしたら奇跡だって起きるかもしれない。それに、ここで落ち込んでたって何も始まらないし、終わらないと思うんだ。僕らは最後まで春季の味方になるからさ、一緒に戦おう」

『カタリさんの言うとおりです。それにまだ、万に一つの確率で発生するかもしれない希望は残ってますからね。ここで腐るのはまだ早計ですよ』


『奇跡、希望……』


 便乗するかのように、バーグも残された希望とやらを口にする。

 この絶望的な状況を割り切る以外で春季を納得させ、再起させる方法。それがどういったものかは不明であるものの、極低確率の希望さえ起こせば全てを解決に導くことが出来る。

 なんとも薄っぺらい言葉ではあるものの、実際それらがあったからこそこうしてノベライザーとエルンダーグは邂逅することが出来たのである。


 今一度信じることが何よりの希望となる。どのような状況でも、奇跡は存在し続けてくれるということを。


『……うん。ありがとう、二人とも。僕ももう少しだけ頑張ってみます。奇跡も希望も残ってるのなら、まだ諦めたくない……!』


『ふふふ、その意気です! では作戦を続けて行きましょう!』


 一度は絶望してもなお、奇跡と希望の可能性を頼りに春季は再び戦いのモチベーションを取り戻す。

 これからどこまで続くかも分からない戦いの再始動。全てを狂わせた現況を討伐すべく、二機は今一度火星への超長距離ワープ作戦へと移行した。

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