第11話~聖具~

聖服・・それは日本が開発した対GB《ゴーストバク》用戦闘服。


聖服の力を身体に引き出しその力で各個人にあった武器が生成される。


天羽響子はハルバート、片霧陽子は上下に刃の付いた弓、大和操は普通の弓となっていた。


そして折原遥にもその力が試され様としていた。



あの戦いから放課後、大和美佐の指導の下で遥は聖服の使い方や聖法を習っていた。


「では、教えた通りにやってみろ」


そう言ったのは美佐


言われた遥はお腹に集中しながら「retrieve」と唱えた。


すると、遥の聖服から赤い線が浮かび上がり淡く光り始めた。


「出してみるか」美佐はそう思いながら。


「折原、今度はお腹から力を出すように意識しろ」


すると遥のお腹から光が現れ2つに分かれて形を変えていった。


「先生・・これは・・」


手にフィットした2つの物を見ながら遥が言うと美佐は少し笑いながら。


「どう見てもバットとボールだな」


「先生、これをどうやって使えばいいのか・・」


遥が言うと美佐が


「バットは殴るで・・ボールは・・分からん」


「先生、分からんって・・」


「まぁー試してみるさ」


美佐がそう言うと東門の拠点へ連れて行った。



対GB用訓練施設内部


「ここなら何があっても地球に被害は出ない」


美佐が笑顔でそう言うと


「地球に被害って・・」


遥はそんなに凄いのかと思いながら言った。


「聖具の効果が分からない以上ここでやるのが一番安全だし、もし怪我しても私がいる」


美佐は嬉しそうに言った。


「何があっても怪我だけはしない様に」と遥は祈った。


「では始める、まずあそこに見える標的をバットで殴ってみろ」


美佐は100m先に見える標的を指差しながら何かのスイッチを押した。


遥は言われた様に標的に近づくとスピーカーから「3発殴ってKOしろ!」と流れた。


遥は「3発殴ればいいのか」と標的をフルスイングで1回殴ると標的を粉砕してしまった。


「え?」と遥が思っているとスピーカーから美佐が笑いながら


「破壊力は上々だな、こっちへ戻って次はボール」


遥が元の位置に戻ると美佐が的にボールを投げる様に言った。


遥は「100mの遠投は」と言うと「現実とは違うから試してみろ」と言った。


遥は標的にボールを投げてみるとありえないスピードで的に当たりボールは地面に転がった。


「ん?何も起きないな・・」美佐がそう思っていると、ボールが突然爆発して的とその付近を破壊してしまった。


「今一使い方が分からん聖具だな」美佐はそう言うと遥に色々と指示を出し遥はそれに従った。



数時間後、美佐がこんな結論を出した。


「このバットは鈍器でボールは意思で爆破操作できる時限爆弾ってところかな」と


遥にはは使い慣れた物であったが、3先輩の様に格好のいい武器が実は欲しかった。



遥は部屋に帰って片霧に聖具の話をすると


「へぇーバットとボールなんて遥らしくていいじゃんか」


「何か格好が・・」


聖服着てバットを振り回す自分を想像していると片霧が遥の頭を撫ぜながら


「GBと戦うのは格好じゃないし、3人共声には出さないけど正直最近身体がきつくてさ・・遥が来てくれるなら俺達助かるし・・って俺がサボるとかそう言うのは無いから」


片霧は最後に冗談ぽく言うと遥が


「いつか先輩が言ってましたよね、出来るのに何もしなのって俺は好きじゃないって、それと荒廃した現実の街を私は見ました、もし地球がそうなったら私は困るので・・」


遥が言い終わると片霧が


「天羽先輩、大和さんもそうだけど俺にはやらなきゃいけない事情があってさ・・」


片霧は少し間を空け


「遥には話してもいいか・・俺には両親ってのがいなくて、いるのは病気を抱えた弟だけがいてその治療を条件にこれに参加している、今の俺じゃ医療費とか賄えないしな・・遥が来てくれるなら弟は1日でも長く生きていられる様に・・」


片霧はそう言いながら弟の写真を見せた、そして写真を見た遥が


「弟さん野球が好きなんですか?」


「野球?よく分からないけど何で?」


「着てる服があるプロ野球チームのユニホームで・・背番号12って」


「そうなんだ、何か大事にしている服って言ってたけど」


「先輩これってうちのパパが引退した時にファンの子供にプレゼントしたって言ってました」


「えーまじかぁー」


「本当です、最後に着てたユニホームで私が欲しかったので」



後日、遥は片霧と共に片霧の弟に会いに行き、意気投合し今年2連覇したら日本シリーズに一緒に行こうと約束をした。

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