転生ニンフュ(♂?)は飼育員になりたい。
翔馬
第1話 日常
学校から帰ったら、うがい手洗いゲーム。いつものルーティンでパソコンをポチッとな。大好きな仲間たちに会うのが毎日の日課だ。最早生きる意味である。
「ただいまドラミー、ご飯今あげるね」
『キュ、キュキュー』
給餌を選択するとご機嫌な鳴き声で答えてくれるドラミー、ゲームの中の仕え魔に口がほころぶ。今日も可愛いなあ。ドラミーはドラゴンだ。ファンタジーの生き物代表だと思う。他にもフェンリルやユニコーン、フェニックスにカーバンクルなど仲間がたくさんいる。画面越しに彼らを愛でるのが自分の趣味なのだ。
本物の動物を触らないのかって?いや昔はさ、いっぱい触ってたんだよ?でもねいつからか動物特有の人間にない菌がとか喘息がとかいろんな情報に振り回されてこんなこと考えてるヤツが恐る恐る触るって動物の方が嫌なんじゃないかって思うようになって。それからはもうゼーンゼン。でも動物大好きなのは変わらないから、ペットブログを巡回したりペット動画を見たり。ゲームでは必ずモンスターテイマーを選ぶ。そんな日々だ。
友達いないのかって?いなきゃいけないってもんでもないだろ?作らなければならないってことあるの?よくわからない。家族は両親と弟妹、年の離れたいとこが近所にすんでる。あと生まれたときから腐れ縁な幼馴染みが三人くらいいるな、ああうん友達と言えば友達か。え?ぼっちじゃねえのかよ?だってあれは幼馴染みだからさ。まあでも長い付き合いの人間しかいないんだよ。新しい人間関係ってのが上手くできなくて。特に困ってもいないし、って放置。結果、こじらせてはいるかもしんない。挨拶や感謝はしっかりしろって教育方針のお陰で目立ったトラブルはなかったよ。でもやっぱり人より獣が気楽で好きなんだ。べたべた触ろうとする奴らうざいし。獣は適度な距離感が良い。
「さーて今日は誰と散歩しようかな?」
ゲームの中の仲間達を見てワクワクする。もふもふの子もすべすべの子もいいが今日はふわふわの子もいいな。画面の中の仲間は自由に庭を動いているけどたいてい固まりになってじゃれあっている。仲が良くて微笑ましい。たまに強くじゃれつきすぎて喧嘩も勃発するが、まとめ役のミーコ、白虎が叱っておさめている。
「よし!今日はミーコ、君に決まり!いつも私が居ない間よくまとめてくれてるもんね」
『グルル、グルル』
カーソルをミーコに合わせクリックすると甘える猫のようにのどを鳴らす。しっかり者だけど自分に甘えてくる様子はとても可愛い。実際に撫でられたらなあ、と思いつつグルーミングを選択。キラキラと光るエフェクトが出て、親愛度が上がる。
丁寧に世話をすると防御が上がる。そして一緒に遊ぶ散歩に出ると信頼度が上がって攻撃が上がる。その他は与えるご飯によってスキルレベルを上げたり属性付与することができる。このゲームの中のモンスターテイマーは育成要素が強い。気ままに使役したい人には人気がないようでテイマー人口は少ない上減少しているみたいだ。ゲーム内でも積極的に他のプレイヤーと交流したことないからあんまり知らないけどこれは公式の調査結果から知っている。このゲームってバトル要素があんまり無くてほのぼの生活する感じだからなあ。エネミーキャラもいるけど…滅多に出会わないんだ。自分はRPGも好きだけどね。
今の自分が嫌ってこともないけどなんとなく。違う世界だったら…ってたまに想像する。例えばちまたに最近多い異世界転生とか。そしたら自分は絶対モンスターテイマーになる。かっこよくて可愛い仲間に囲まれてわちゃわちゃしたい。グルーミングして癒して癒される。そんな生活、できたらなあ。そのためには安心安全を保障する能力も必要だろうけどね。
のんびりそんなことを妄想してまったりと画面の中のモンスターに癒されニヤニヤしていた、そんな時が自分にもありました。
実際に転生とか言われると余裕ないんですけどおおおお!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます