第20話 私見・フジテレビの栄枯盛衰

 ちわっす、あたいだよ。


 フジテレビの話なのに日本テレビの話からするね。『笑点』観てたら、演芸に青空球児・好児師匠が出てきたのよ。あたいはなんか、ゾッとしたわ。だって、下手したら曾祖父母の時代から、師匠たちはテレビに出て、今とおんなじような芸をやってるのよ。すごいを通り越して恐ろしかったわ。


 古老に聞いた話だと、フジテレビは「わしの記憶じゃと『ママとあそぼう! ピンポンパン』『ひらけ! ポンキッキ』『科学忍者隊ガッチャマン』『サザエさん』くらいしか出てこんの」だって。子ども向け番組ばっかり。そんなもんだったのよ。でも古老は覚えてないようだけど、『6羽のかもめ』とか『ご近所の星』なんて洒脱なドラマも作ってたの。前者の脚本は倉本聰(ただし別名義)、後者は布施博一だからいい面子よね。倉本聰がなんで別名義かというと大河ドラマ『勝海舟』の脚本を、スタッフとの軋轢が原因で途中降板したんだけど、表向きは「病気のため」って発表されたから、直後に作品を発表するのはまずかろうって忖度が働いたためよ。ちなみに倉本は元ニッポン放送の社員だからフジテレビは親戚みたいなもの。だって当時はフジテレビってニッポン放送の子会社だったんだから。「ライブドア事件」まで、局の人も知らなかったとかどうだとか。まあ、のちに倉本は『北の国から』を書くんだけど、この辺のゴタゴタで、北海道に避難したのが原点。


 フジテレビが頂点に達したのは、軽佻浮薄に徹したことね。「楽しくなければテレビじゃない」よ。まずはバラエティー重視。『THE MANZAI』で空前の漫才ブームを起こし、上方というか当時の吉本興業の笑いを全国区にした。その面子の中から使えるやつを起用して『オレたちひょうきん族』で一気に昇華した。そのせいで『8時だョ! 全員集合』が終ちゃった。一番人気は浅草芸人の非吉本であるビートたけしだけど、やっぱり一番儲かったのは吉本興業ね。

 芸人がテレビで本業の演芸をしなくなったのもこの頃で、いまのバラエティーに通じるわね。一方で、プロデューサーの横澤彪は、「密室芸」「夜の顔」だったタモリを『森田一義アワー 笑っていいとも!』に起用した。すごい冒険だし、発想力。でも、スタート当初は非難轟々だったそうよ。それが今じゃ、タモリはNHKの顔になってるわ。


 もう一方の柱はトレンディードラマと呼ばれるもの。とにかく美男美女で人気があれば、演技下手くそでも使ってた感じ……だったそうよ。まあ、実力派俳優も出てたそうだけどね。とにかく視聴率第一主義よ。「視聴率、ファースト!」っていうのかしら。でも木曜十時のドラマは良質だったみたい。やっぱり、フジテレビ内でもそういう職人気質の人がいたってことね。

 あとさあ、お笑い芸人がドラマに出るのもこの頃じゃない? 昔は喜劇役者っていう存在があったのにそれを駆逐してしまった。今、喜劇役者っている? 吉本新喜劇? あれは違う。松竹新喜劇ならいいけどね。ああ、じゃあ藤山直美がそうかな? 微妙ね。


 はい、では没落を手早く。

 要するに、時代に合っていて、なおかつ新鮮な番組がない。以上。

 原因はバブルを謳歌した人が上層部の幹部になって、自分の成功体験の記憶で部下に指示するからダメなのさ。管理職は黙ってろってこと。現場が萎縮するだけよ。要は「かえるの王様」は棒っ切れでいいとうこと。まあ、フジテレビはオワコンね。

 

 しかし、番組名をなるだけ正確に書くために検索しまくり。こういうのはもうやめね。

 はい、さようなら。

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