第18話 引き継ぎはきちんと

 ちわっす、あたいだよ。


 世界リレー2019の予選で日本チームがバトンミスで失格だって。これはさあ、スポーツだからしょうがないことだよ。それよりバカなのはさあ、日本が出ない決勝を日曜のゴールデンタイムにお茶の間へお送りする、TBSの編成だよ。誰が観るんだ? こういう時のために裏番組を作っとかなきゃダメよね。とても、前ベイスターズのオーナー企業とは思えない。ナイター中継しないからいけないんだよ。“雨傘番組”ってのは死語じゃないよね? 危機管理ゼロだね。坂本一家事件から何も学んでない。震災が起きてもTBSは観ない方がいい。ビッグハットが崩落してるかもな。


 引き継ぎといえば、思うのよ。例の新任さんのことさ。普通お役所って、四月一日が異動日じゃない? なのに、新任さんは五月一日付け。令和の初日だから? 違うね。新任さんは、よくて、他の部署か別の区役所からの転任、悪いと新人さんで、引き継ぎに一ヶ月かかったんじゃないかしら? どっちにしても、ど素人の可能性大だわ。ということは、ケースワーカーの経験ゼロの可能性もあるんだね。そうなると往々にして、権力はあるけど能力・知識・経験のない人は、空威張りしがちだからね。ベテランは「柳に風」というか進退の勘所を押さえてるし、心に余裕もあるから、弱者に上手に対応出来る。あたいが生活困窮者だということを新任さんが理解して、さらにホスピタリティの心を持ってればいいんだけど、万が一、高圧的だったら、あたいは戦うよ。もちろん、暴力ではなく、マシンガントークと心理的ダメージを与える慇懃無礼で上品な罵詈雑言で、責めて、あたいと同じような病院に行くようにさせるわ。あたいの後ろには不動明王がいらっしゃるの。平将門公だっていらっしゃるわ。たぶん。


 この頃、一ネタ目はだいたい七百文字くらいで終わっちゃう。どうしても付録が必要になっちゃう。えっ、いらない? じゃあ読まなきゃいいさ。あんたの勝手だ。

 恩田さん二作連続シリーズ中なのさ。まあ、前に書いたね。それで『蜜蜂と遠雷』さ。なるべく、予備知識を入れずに来たんだけれど、うっかり、オビの惹句を読んじゃった。音楽小説だって。ヤバイと思ったね。あたしゃ小唄の師匠だけど、子どもの頃から楽器がダメという、物語的に破綻してる状態なのさ。偽作者が冷や汗で華厳の滝を再現してる。ザマアミロ。根性なし。ぺこりが読まれないからって、逃げ出して、あたいを創造しやがってよ。ありがとさん。しょうがないから、助け舟さ。あたいが苦手なのは音楽ではなくて音楽小説ね。これでいいだろ。

 要するに、あたいの苦手分野な上、最初のページから専門用語・人名ばかりが細っこい字で書いてある。そして、あまりに抽象的なオープニング。

 今まで、恩田さんの演劇小説類は読めたし、天下の本屋大賞とってんだから大丈夫だと思ったけれど、かなり不安になったね。

 でも、大丈夫そう。一気に百ページ読んだ。興奮した。予想だけど、ああ、ネタバレ注意よ。たぶん、天才ピアニストたちの「天下一武道会」になると思うんだけど、プロの作家さんが、そんな素人のあたいでも、わかりそうなことはしないかもね。楽しみだわ。『消滅』みたいに強引な読ませ方はしなさそうね。

 まあ、結果は読了後ね。

 はい、さようなら。

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