その少女は異世界で竜を断つ

コジカノヤボウ

プロローグ


 日本の田園風景広がる片田舎で私は一人静かに暮らしていた。


 輝かしいはずの青春時代は勉強に明け暮れ、いざ就職という折には後に就職氷河期と呼ばれる混迷した時代。


 しかし運良くそれなりの職には就け、それなりに暮らしも安定し、恋人という信じられ無い存在までできた。


 そんな私も現在30歳、人生最大の選択とでも呼べば良いのか、結婚を決断し彼女に決死のプロポーズをするも案外すんなり承諾を貰った。


 結納も済ませ、後は式の日取りを調整するのみであったのだが、会社から出向を命じられ地方の協力会社へと移動する事になった。


 当然この話を妻となる予定の彼女にも話したのだが、まさか結納まで済ませた筈の彼女に振られる始末。


 どうやら彼女と俺の間にあった真実の愛だとかいうものは言うは易し、上辺だけの言の葉に過ぎなかった様である。


 別に彼女を恨んだり憎んだりはしていない。


 むしろ人生というものを学ばせてもらったと感謝している。


 ――などと強気でいかにも気にしてません風な事を家族や友人、会社の同僚達に知的でクールな紳士を演じているが、真実とは常に隠されているものである。


 彼女に未練ありありの私は気がつけば毎晩、彼女に似たおかずを探しネットを漁る。


 最低、変態、それだけでは片付けられない思考と趣向である事は承知なのである。


 しかしまぁ、男の性欲というものに男ながらに嫌気を感じている私は何を思ったのか、絶頂の後に訪れる静寂、賢者にでもなったかの様なこの一時に、私は私のナニを切り落としたのであった。

 

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