淡い夢

久しく忘れていた情熱が己の身体を動かし

数ヶ月の弛まぬ努力へと導いてくれた

とても充実しており

我が人生で一等の輝きを放っている

そんな心地であった

私が歩んで来た道程は只人に非ず

潔癖なる者達には毒となる事は自明

なればこそ能力が大きな審査基準となる試験に挑み、筆記試験に合格せしめた

面接試験の倍率は低く、およそ落ちるものではなかった

何より私は先方の取組を調べる事に余念が無かった

通過する自信があったのだ

しかし落ちてしまった

隣にいた彼者と私とで何の違いがあったのか

能力に差は無い

等しく厳しい筆記試験に合格している

私には光が無かったのだ

私が彼者を見た時、目を焦がすような眩しさを感じた

正道を真っ直ぐ歩んで来た澄んだ光であった

どちらか切るのならば燻んだ方を切るのは当然であろう

私の咎はあれ程の努力でも拭い去れぬというのなら

首を一刀両断され、以って赦されるほか無いようにも思われる

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齢二十三 石川桜所 @Ohsho

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