第44話 6月
最後に電話で話したのはいつだったろうか。
半月前のような気もするし、実際はひと月程度経っているのかもしれない。
内容を覚えていないことからすると、当たり障りのない話だったのだろう。
その内容は何であれ5月に会わなかったことで、すずさんとしてはけじめがついたようだ。
一方で僕はその状況を完全には受け止められずにいたのは事実だった。
それは、最後の会話が「さよなら」ではなく「またね」だったからなのかもしれない。
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