第7話 目指せ、棒を使うのが上手い女!
となると、俺的には昂輝が柴咲とくっついてくれた方が都合が良いわけだが、俺と
あぁー、どうすりゃいいんだ。
とりあえず、まずはこいつが昂輝に好意の公言、もとい告白でどれだけの脈があったのかを図ろう。
「昂輝はなんて言ったんだ? お前が好きですって言ってる事に対して」
「え、普通ですよ。ありがとう。って、けど
「えーっと……普通かなこれ」
脈なしどころか、柴咲の為にフる為の言葉を用意してたんじゃないか説。だって相手の気持ちに寄り添ってフる事が出来ちゃうのって、心に余裕がなきゃ無理だろ。
「後腐れないように、ちょっとおちゃらけて言ってましたね。あたしの告白の仕方もいけなかったかもしれないですけどー」
うわー、昂輝っぽいな。なるべく傷つけないように、その場の冗談っぽくしたわけだ。多分真摯に告白してたらまた違った対応を……って、やっぱりあいつ余裕の塊みたいなとこある。その場で考えてフった説の方が濃厚だな。
「因みにどう告白したんだよ」
「副会長、彼女いないなら、あたしなんてどーですか? って」
「かっる!」
流石ゆるふわビッチを自称するだけあんぜ。そんなん、柴咲を好きな奴でなきゃなびかねーだろ。なびくかな。まぁ、そこそこ可愛い部類だもんなぁこいつ。目安箱にもデートしたいみたいなの入ってたりするし。
「だってガチ告白して、フラれて、生徒会そのままやれると思います?」
「……難しいよねー」
「え、何で急に優しくノッて来たんですか? 怖いんですけど」
絶賛反省中だからだよ馬鹿野郎。本当危なかった。
俺には分からん世界だけれども。
「ブッキー輩、副会長の女子の好みとか知ってます? 前聞いたら素直な子とか言ってて、もうあたし素直だしなぁていう」
「ハハッ笑止」
「そうそう、笑っちゃいますよどうしようもなくて」
「いや違う、素直な子はもうちょい明確に好きって告白するって意味で笑止」
「えー、あたし素直ですしぃ〜」
そう思うならそうなんだろう。お前の中ではな。
だが、昂輝の好みの話になった今、俺にはどうすればいいか名案が浮かんだ。
単純明快よ……柴咲を黒木さんみたいな女子に寄せていけば良いのだ!
必然的に生徒会や、同じ高校というアドバンテージがあるのだから、柴咲の方が圧倒的に恋愛ごとにおいて有利なはず! ってあれ、これ既に負けてるぞ……。……それはそれ! これはこれ!
目指せ逆転勝利! そうすりゃ、みんなハッピーだ!
だが数ある問題の中でもデカイ問題が一つ。
黒木さんが化け物過ぎて、柴咲は寄せに行くことすらハードモードという事である。無理ゲーとまで言える。
「柴咲、お前、棒使うのは得意か?」
「男子の棒ですか?」
「その卑猥な手つきやめろ。生々しいからやめろ」
手で何かをゴシゴシして真顔で答える柴咲。ほんまこいつ黒木さんの対局にあるような女だろ。あっちはヒロへのデレデレ加減はヤバイが、清楚なのはデフォだぞ。
「棒って何のことです?」
「いや、昂輝はな……何と棒高跳びが出来る女子がカッコいいと言っていたんだ!」
昂輝が黒木さんの何処を好きになったかは知らんけど、黒木さんと言えば棒高跳びで全国一位の猛者!
しかも、あくまで好みの話をしただけであって、黒木さんの名前を出したわけでは無いので、昂輝の好きな女の子に対し疑われることも無い。
完璧だ……完璧な助言だ。つまり棒高跳びを出来るようになる事は、昂輝を落とす為の第一歩になる……あれ、柴咲さん、何でそんな肥溜めに落ちていくハエを見るような目をしているのかしら?
「……だから棒高跳びが出来るようになれって? 馬鹿ですか?」
「俺の完璧なアドバイスを貰っておいて馬鹿……だと?」
「多分それ、棒高跳びじゃなくて走り高跳びだろうが、ハードル走だろうが同じだと思いますけど」
「……俺もそう思う」
「そう思っちゃうのかよ」
タメ口言われても気にならないくらい、今の言葉は腑に落ちる。うん、多分そういう事ではないよね。
でも見た目とか黒木さんに寄せたところで、こいつがやってもオタサーの姫って感じだよな。真面目な黒髪ロングの方が実は男を喰ってるっていうのは、ヒロも言ってたし。古事記でも書かれてる。間違いない。だとして、立ち振る舞いとか直そうにも、うちの周りに、そんな凛然とした清楚な感じを振りまいて、且つ指導できそうな程周りに尊敬されてる奴なんていな……。
「あら、会計さん、
「あ、新垣先輩、こんにちはー」
……いましたね。すっかり忘れてましたね。
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