惨殺聖書

ケルベロス

第1話 翼の生えたロボット

 LP児童養護施設に暮らしていた少年――赤川 零あかがわ れいは、父親の急な呼び出しに戸惑った。

 

 施設の職員が運転する車に乗り込み、『LOST PARADAIS』という名前の科学研究所に向かった。


 「お父さんのこと、好き?」車内で父親のことについて問われた零は、少し沈黙したあとに「――まぁまぁです」と答えた。

 

 「お父さんってどういう人だったの?」零は度重なる父親についての質問に少し苛立ちを覚えたが、「分かりません……会ったことがないので」と、答えた。


 すると、国中に警報が鳴り響いた。


 『DVL接近。直ちに国民は避難せよ。危険度レベル3』同じ内容が繰り返される。でも、職員は言う通りにしなかった。そう、避難をしようとしなかったのだ。


 空に浮かんだDVLと呼ばれる人形ひとがたの機械。政府はあの物体を未確認飛行物体と定義している。


 「避難しないんですか?」


 「……えぇ、貴方に来て欲しい場所があって……」職員はそう言うとスピードを出し、クラッチを繋げながら、ギアを上げていった。

 

 着いた場所は、ある山奥だった。


 車から降りて、零は職員の後についていく。


 職員はある場所で止まり、土を触りながら何かを確認していた。するといきなり、土が割れた。


 「ついてきて」職員はそう言うと、割れた土の境目から飛び降りた。

 

 零もそれに続いて飛び降りる。一気に足に衝撃がくる。「痛っ!!」


 「大丈夫? 早く行くわよ」


 数十分、SF小説に出てきそうな近未来的なのような廊下を歩き、「着いたわ」と言われたので、その場をぐるっと見渡す。目の前には翼のはえたロボットがあった。


 「貴方にはこれにのってDVLと戦って欲しいの」職員が零の肩を掴み、「貴方にしか出来ない」と続ける。


 零は笑いながら「分かりました」と答えた。「やってやりますよ」


 零は言われたように昇降炉に乗り、操縦席に乗り込み、ハッチを閉める。


 『ゲノム識別、percentage百。赤川 零を識別しました』


 零はゆっくりと深呼吸する。とても居心地が良いと思った。心のそこからリラックスできる。


 『ミカエル起動。周囲に敵対勢力確認なし』この音声とともに、三百六十五度にディスプレイが表示される。


 「これで死角は無しか」零は関心したように頷いた。


 『零くん? 聞こえる?』右のディスプレイに顔が表示される。


 「誰ですか?」


 『私は管制塔のミカエル監視官を勤める志伊良しいらです』


 『まずは前にあるタッチパネルで、safetyを解除して』


 俺は言われたように解除すると、操作をするコントロールレバーが出てきた。


 俺はそれに指を添えた。昔、アニメで見たことがある。


 『では、貴方を前線に配置するわ』


 サイレンが鳴り響く。ふわっとした感覚が伝わってきた。


 『第一GATE解放』この機械的なアナウンスが鳴った後に、一気にディスプレイに移る景色が高速で動いて、赤く染まった空が見えた。同時にDVLも見える。

 


 

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