異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾隆生

書籍1巻のあらすじ

【転生と異世界生活の始まり】


 ブラック企業で過労死した田中拓海(タクミ)は、死後の世界で女神エンビアと出会う。エンビアは人類滅亡の危機にある異世界ライーザを救うため、特殊スキルを持つ人間を転生させていたが、タクミは手違いで呼び出されたスキルなしの平凡な人間だった。お詫びとして、エンビアはタクミの「田舎の一軒家でスローライフを送りたい」という生前の望みを叶えることに。タクミは植物の育成に特化したスキル《緑の手》(作物の成長促進、品質向上、鑑定など)と、22歳頃の健康な体、そして亡き両親と暮らした実家そっくりの家(電気・水道はないが、井戸、薪風呂、竈、氷室などが完備)を人里離れた森の中に与えられ、異世界ライーザでのソロ暮らしを始める。


 当初は電気・水道のない不便な生活に苦労するが、井戸水の美味しさに感動し、薪で風呂を沸かす(温度調節に失敗し火傷しかける)など、試行錯誤しながら生活基盤を整えていく。女神からもらった5種類の「野菜の種」を畑に蒔くと、スキル《緑の手》の効果でわずか1日で異常な速度で成長するが、実ったのは野菜ではなく、食べるとステータス(ちから、ぼうぎょ、すたみな、すばやさ、きようさ)が上がる不思議な「種」だった。タクミは空腹を満たすためにこの種を食べ続け、知らず知らずのうちに超人的な身体能力を獲得していく。(ただし、まりょくの種はなかったため、魔力は最低値のまま)。試しに茎を食べると、あまりの不味さに気絶してしまう。


【エレーナ、エリネス、ウリドラとの出会い】


 ある朝、全裸でラジオ体操をしていたタクミは、森に迷い込んできた金髪の美少女エレーナと遭遇し、悲鳴を上げられて逃げられてしまう。その後、エレーナが魔物ダークタイガーに襲われているところに駆けつけ、成り行きで戦闘に。タクミは強化された身体能力でダークタイガーをパンチ一発で撃退する。


 エレーナを家に連れ帰ると、彼女はダスカール王国のキーセット公爵家の長女であり、王位継承絡みの陰謀で異母妹フォーリナに命を狙われ、公爵家の地下にあった転送魔法装置で逃げてきたことが判明する。


 さらに翌日、エレーナの母エリネスが同じく転送魔法装置でタクミの家に現れる。エリネスは見た目こそ若いが実はドワーフ族であり、エレーナもその血を引いていることがわかる。エリネスもまた、フォーリナの母である第一夫人に命を狙われ、ゴブリンの襲撃から逃れてきたのだった。


 エリネスの登場により、タクミの家にある家電製品が実は魔法で動く魔導器具であり、水道なども含め、魔力を補充すれば使えることが判明する。タクミは自身の魔力量が極端に少ないことも知る。また、エレーナとエリネスから、ドワーフ族とエルフ族の間には深刻な確執(髭を巡る価値観の違いが原因)があり、ここはエルフの領域である可能性が高いことも知らされる。


 庭でワイルドボアの親子が狼の群れに襲われる事件が発生。親猪は子供を守って死んでしまうが、タクミは残されたウリ坊を保護し、育てることに決める。鑑定の結果、このウリ坊は猪ではなく竜種「ウリザネスボア・ドラゴン」であり、巨大化・縮小化能力や飛行能力を持つことが判明。ウリドラと名付けられる。ウリドラはタクミたちが気絶するほど不味い「種」の茎を美味しそうに食べ、一晩で巨大化するなど、異常な成長を見せる。


 エリネスを追ってきたゴブリンたちが家に襲来するが、タクミは強化された力で、エリネスは光魔法の剣でこれを撃退する。


【旅立ちと街への到着、そして不穏な影】


 タクミは、母親(第二夫人)を助けたいというエレーナの願いを聞き入れ、二人と共にダスカール王国へ向かうことを決意する。まずは情報収集と旅の準備のため、近くの街を目指すことに。


 エレーナの記憶を頼りに街道へ出た一行は、道中で野盗に襲われている行商人トルタス(人間族)とその妻ファウナ(エルフ族)、娘レリナ(ハーフエルフ)の一家を助ける。タクミは圧倒的な力で野盗たちを制圧(リーダー格の男はエレーナが《ファイヤーボール》で黒焦げにする)。


 トルタスから、目的の街へは橋が流された影響で迂回が必要となり、馬車でも2日かかると聞かされる。代わりに、トルタスたちが移住する予定の、川の氾濫後に新しくできた街が馬車で半日ほどの距離にあることを教えられる。タクミたちはトルタスから護衛を依頼され、彼の馬車に同乗してその新しい街へ向かうことになる。道中、タクミはファウナから薬草について、トルタスから世界の常識について学ぶ。


 日が暮れる頃、一行は目的の街に到着する。新しい街はまだ小さく、村のような規模だったが、タクミは異世界での新たな生活への期待を抱く。トルタスは宿の手配と報酬の支払いを約束する。


 一行が街の門をくぐる様子を、物陰から複数の鋭い目が監視していた。彼らはエリネスとエレーナをターゲットとして認識しており、「指令書になかった男(タクミ)」の存在を訝しみながら、アジトへと引き上げていく。タクミたちの旅の前途に、早くも暗い影が忍び寄っていることを示唆して、1巻は幕を閉じる。

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