書籍2巻のあらすじ

【ファルナスでの出会いと交流】


タクミ、エレーナ、エリネスの3人は、行商人トルタス一家(妻ファウナ、娘レリナ)と共に、新興の街ファルナスに到着する。トルタス一家はファルナスで新しい店を開く準備を進めており、タクミたちはその手伝いをすることになる。薬草師でもあるエルフのファウナは、店の裏庭で薬草を育てており、タクミは彼女から薬草学の基礎を学ぶ。


ある日、タクミは試しにファウナの薬草プランターに《緑の手》の力を使う。すると翌日、植えられていた「癒やし草」が異常な速度で急成長し、通常ではありえない最高品質のものまで育っていた。これを発見したファウナは驚愕しつつも、その最高品質の癒やし草を使って希少なハイポーションを調合することに成功する。タクミはこの一件を通じて、ファウナにだけ《緑の手》の秘密を打ち明ける。


一方、ファルナスの傭兵ギルドでは、トルタスを護衛していた傭兵エヴァンス(エルフの青年剣士)が野盗に負わされた傷の後遺症に苦しんでいた。相棒のゴンザル(人間族のベテラン傭兵)は、治療に必要なミドルポーションがファルナスでは手に入らないことに悩んでいた。事情を知ったタクミは、ファウナから受け取ったハイポーションを「父親の形見のミドルポーション」だと偽ってゴンザルに渡し、エヴァンスは奇跡的に全快する。


【商業都市サーディスへの旅と競売】


タクミは、家から持ち出した品々(元の世界の雑貨など)を換金するため、そして野菜の種や苗を入手するために、商業都市サーディスへ向かうことを決める。トルタスはタクミの持つアメジストドームが非常に高価な「純紫水晶」であることを見抜き、サーディスの商業ギルドが主催する競売への出品を勧める。


回復したエヴァンスとゴンザルもサーディスへの帰還を兼ねて同行することになり、一行はトルタスの馬車でサーディスへ出発する。道中の宿場では、傭兵たちの過去(魔法が苦手で剣の道を選んだエヴァンス、彼らの師匠である謎の剣士の話など)が語られ、交流を深める。


サーディスに到着した一行は、商業ギルド本部で競売の手続きを行う。タクミのアメジストドームは予想を遥かに超える9万3千ソロという高額で、魔族領の貴族に落札される。その競売で、タクミは出品されていたペンダントが入った木箱が、実は異世界人(授け人)専用の収納魔道具「マジックボックス」であること《品質鑑定》で見抜き、アメジストの売却益を使って5万ソロで落札する。


【秘密の共有と新たな契約】


宿に戻ったタクミは、トルタス、エレーナ、エリネスにマジックボックスの秘密を明かすと共に、自分が女神によって送り込まれた異世界人「授け人」であることを告白する。しかし、エリネスとエレーナはタクミの家の不自然さから薄々感づいており、トルタスもまた「授け人」の伝説を知っていたため、驚きつつも受け入れる。エリネスも自分たちがドワーフ族であることをトルタスに明かす。タクミは、これからのスローライフで育てた作物の販売をトルタスに任せる専属契約を結び、信頼できる協力者を得る。


【帰宅と家の惨状、そして新たな家族】


ファルナスに戻ると、ゴンザルとエヴァンスもファルナスに拠点を移すことを決めていた。彼らから餞別として獣肉の燻製詰め合わせとヒヨコ2羽を受け取り、タクミたちは自宅へ帰る。


家に戻ると、庭や納屋、畑は獣(主にワイルドボア)に酷く荒らされていた。しかし、家自体は女神が張った結界によって無傷で守られていたことが判明する(ただし、結界はあと数日で効果が切れることも後に知る)。


翌朝、庭の花壇に試しに植えておいた「きようさの種」が育ち、それをウリドラとヒヨコたちが食べてしまう。その結果、ヒヨコの一羽(雄)が幻の魔物「コーカ鳥(コカトリス亜種)」へと進化。もう一羽(雌)は普通のニワトリのままだった。雄はアレウス、雌はディーテと名付けられ、タクミの新たな家族となる。ウリドラの急成長も、種の茎を食べたことが原因だった可能性が浮上する。


【スローライフの再建と女神チャンネル】


タクミたちは協力して家の周りに頑丈な木の塀を作り(出入り口を作り忘れるハプニングもあった)、鶏舎を建て、荒れた畑を再生させる。そして、サーディスで買ったニンジン、キャベツ、アマアマイモ(サツマイモに似た作物)の種と種芋を植え、《緑の手》の力で一気に成長させる。


その夜、再び「女神チャンネル」が繋がり、女神エンビアと再会。タクミの異常なステータスや新たなスキル《ゾーン》(戦闘中に周囲の動きが遅く見える能力)について話し合うが、原因は不明のまま。女神は、チートの種によるステータス上昇の上限が255であること、家の結界がもうすぐ切れることを告げる。タクミは種の茎を食べた動物の進化について報告する前に、女神のパワー切れで通信が途絶えてしまう。


【暗殺者の末路】


一方、ファルナスでタクミたちを襲撃し、逃走していた暗殺者集団のリーダーは、廃村の隠れ家で依頼主(第一夫人と思われる女)に通信で報告していた。しかし、任務失敗を詰られ、逆上して依頼主を脅した結果、見限られてしまう。依頼主は遠隔で魔物の群れを召喚し、暗殺者集団は隠れ家ごと殲滅され、その存在は闇に葬られる。この事実は誰にも知られることなく、物語はタクミたちのスローライフ再建へと向かうところで2巻は終わる。

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