第30話  6

 1389 1398 1839 1893 ……


 午後、営業に出たついでに新宿西口で、教えられた四つの数字組み合わせをすべて購入した。組み合わせは二十四通りあった。しめて四万八千円を窓口に支払った。ちょっとまとまった金額ではあるが、懐に軍資金もあることだし、投資と思えば別に問題はない。それよりもこの前のようなミスは許されない。占い師に予言してもらいながらそれを外すということはまさに愚の骨頂でしかない。

 次の日の朝、弓削は普段通りに新聞を拡げた。視線は訓練されたようにその部分に奔る。紙面には予言された数字が判で捺したように並んでいた。

「1・3・8・9」

 数字の並びはまったくそのままだった。

 弓削はすぐさま当選金額を追った。自分の買った宝くじの当選金の合計は、ざっと百二十万円。弓削はそれを見たとたん、足許から震えが這い上がってくるのを必死になってこらえた。

 駅までの所要時間がこれほど短いと思ったことのない弓削は、通勤電車に乗って周りに揉まれながらもその刺激がたまらなく心地よかった。

 ――夜になってもなかなか昂ぶった気持を抑えきれずない弓削はいち早くあの占い師のもとへ報告を持って行きたかった。

 ところが、帰る間際になって急に親友の山里から誘いの電話が入った。あまり早く家に帰ると嫌な顔をされるから、どっかで一杯付き合ってくれないかということで、弓削は一瞬どうしたものか悩んだが、占い師は別に明日の夜でも構わない。  だったらいま困っている友人にちから添えをしようと思った。ところが、この思い遣りがあとになって後悔を引き起こすことになった。――

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