この壮大なスペースオペラを三行でまとめると
もがみたかふみ
巨大な植物惑星ネペンテス・デジタリシスが放つ神砂電磁嵐に巻き込まれて瀕死 ←イマココ
・女子高生アキが人造生命体ハルの操る宇宙船で銀河放浪の旅に出て合計で四十八の星系を危機から救う。
・仲間を増やしながら旅を続ける中、フューを名乗る大男とダイヤモンド・スターダスト星系をめぐる争いに巻き込まれる
・巨大な植物惑星ネペンテス・デジタリシスが放つ神砂電磁嵐に巻き込まれて瀕死 ←イマココ
「ハル!」
アキが叫ぶ。こっち来ないでよ、あんたがこっち来ても何の役にも立たないっつうか、むしろやばいんだよ、あんたの例の能力が今発動すると。
「フュー、あんたの全データをこっちのメモリーにコピーするしかない」
フューの口があんぐり開いた。
「なんだと?」
「早くしてよ」
イライラしながら叫ぶ。
「あんたの制御系が暴走を開始したら手遅れだからね、僕にもどうしようもない」
「くっ…」
ヤツは回線を開いた。直線距離にしてたったの五メートルほどだが、この神砂電磁嵐の中では、回線を確立するのがひどく難しい。釘を刺すのも忘れない。
「あ、少しでも変な動きを見つけたら見捨てるから」
「ちっ」
か細い回線を通じてフューの人格データを取得し、再構築する。じっくりセキュリティ対策を立ててやりたいところだけど、僕にもあまり余裕はない。神砂電磁嵐にまともに巻き込まれたらこちらも危うい。フューの本体……黒猫の義体はコロリと倒れて動かなくなった。回収する必要はないだろう。あとはこの神砂電磁嵐の影響圏内から脱出するだけ。
「あんたさぁ……なんだよこの『泣いて謝るなら許してやろう』って妄想は」
「がっ……か、勝手に人の妄想を見るな!」
「しょうがないだろ、見えちゃったんだから」
「見るな、見るなよ!」
陽電子頭脳内でわめきたてるフューの声にうんざりしながら、全力でシールドを張って神砂電磁嵐を遮断し、脱出しようとした瞬間、ネペンテス・デジタリシスが吠えた。ヤバい、逃げる獲物を捕らえに動き出した。この場合獲物ってのは僕(と脳内のフュー)のことだ。ネペンテス・デジタリシスの本体から電磁針が射出され、一直線に僕(と脳内のフュー)を襲う。ああ〜ダメだ、これ死ぬとこだ。ゆっくりと景色が流れる瞬間、走馬灯っていうのかね、これまでのログが一気に脳内検索された。変なトコだけ人間っぽいよな、この
………………通信が途絶しました。ログアウトします。
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