第6話【お母さんの教え】

 ①毒ガス小屋にて


 俺は母の教えを忠実に守っている。


 緊張した時には「ゆっくりと体に染み渡るように吸うのよ」と言われて咄嗟に実践した。


 あぁ、空気が旨いな……ありがとう母さん。


 しかし、血反吐を吐き散らかして命を落とした今では、その判断を後悔している。


 ②周りの優しさに気づいた日


 俺は夜中に1人で歩いていたら、通り魔に背中を深々と刺されてしまった。


 溢れ出る鮮血は温かささえ感じる。


 周りの通行人が僕に向かって叫んでいた。

 どうやら見るも惨たらしい傷みたいだ。


 でも、取り乱してはいない――何故なら、母から授かりし魔法の言葉があるからな。


 どんな傷や痛みをも、なかった事に出来る不思議な言葉だ。


〝痛いの痛いの飛んでいけ~!!〟


 良し、これで録画していた番組を見れそうだ

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